NOKKO、娘の卒業式で歌った思い出 最後まで母親として接してくれた学校に感謝
1984年デビュー組の良きライバルだったシンガーソングライターのNOKKOと中村あゆみ。ともに一人娘のママでもある2人の対談シリーズ。今回の話題は、「子育て」について。思春期を迎えたまな娘との向き合い方など、母親としての2人の素顔に迫った。
過去を聞かないお母さん同士の「暗黙の約束事」に助けられた
1984年デビュー組の良きライバルだったシンガーソングライターのNOKKOと中村あゆみ。ともに一人娘のママでもある2人の対談シリーズ。今回の話題は、「子育て」について。思春期を迎えたまな娘との向き合い方など、母親としての2人の素顔に迫った。(構成・文=福嶋剛)
中村「うちもNOKKOちゃんのところも一人娘なんだよね。お嬢さんは何歳になった?」
NOKKO「娘は15歳で中学3年生。私の時代とは環境もまったく違うんだけれど、大人になっていく思春期の過程というかそういったところは昔の私に近いものがあるかもしれないよね」
中村「うちはもう社会人になったけど、同じぐらいの年齢のころは教育ママだったから結構塾に行かせていたの」
NOKKO「えっ? 中村あゆみが教育ママだったの?」
中村「そう。ビックリでしょ?(笑)。娘が学生だったころ、大失恋して帰ってきたから話を聞いてあげたりしてね」
NOKKO「“スナック中村あゆみ”だ(笑)」
中村「そう。それで勝手に頭の中で若いころに歌っていた『悲しみのセンセイション』(84年)のシチュエーションとダブってしまったの。だから『お願いだからこんな歌みたいにならないで!』って心の中で思っていた(笑)。でも親子でそんな感情を共有するなんてことがあるんだなと思ってね。今でも娘にはこの曲を聞かないでほしいって思ってるんだけど……」
NOKKO「結構、ちゃんと聞いてるのよ。うちの娘だってそうよ。お誕生日にハッピーバースデーを歌おうとしたら『ママの歌はデカイから』って窓を全部閉めてくれるんだから(笑)」
中村「可愛い!」
NOKKO「娘はピアノをやっているんだけど、私に似てなくて真面目に練習してる(笑)。あと私の知らないK-POPのグループを教えてくれたりして。『YOASOBI』も有名になる前からチェックして私に教えてくれたんだよ」
中村「へえ。確かに私たちって娘から最新のものを教えてもらうよね」
NOKKO「そう。情報源として大切なんだよ。うちは和風が好きみたいで、アニメも『鬼滅の刃』とか。こたつがない家なんだけど、そういうのに憧れたり、『ちはやふる』というアニメに影響されて書道を始めて、今は中学校の書道部に入ってはかま姿で書道をやってるの」
中村「うちも同じ。『進撃の巨人』とかアニメが大好きで、意外と子どもって『私とママは違う』っていうクールな目を持っているんだよね」
NOKKO「ママはちょっと古くてダサイぐらいがちょうど良いのよ」
中村「でもこの仕事をやりながらママをやるってやっぱり大変だよね」
NOKKO「お母さん同士ってあまり過去のことを聞かないのがなんとなくの暗黙の約束事だったりするでしょ。周りのお母さんは、私がNOKKOだと分かっているんだけど『(本名の)保土田さんのお母さん』と言って接してくださって。そういった皆さんの気遣いがすごくありがたかったの。それで娘が小学校6年生の時、お別れ会の役員になったので、その時はさすがに皆さんへの感謝も込めて最後に『翼をください』と『卒業写真』歌いましたよ(笑)」
中村「私もそう。娘が通っていた学校で先生が『創立80年記念を迎えることになりましてひとつご相談が……』って。それで『翼の折れたエンジェル』と『悲しみの詩』を歌いました(笑)。NOKKOちゃんは校歌も作ったんだよね」
NOKKO「そう。熱海市立熱海中学校の校歌『光る海』を夫と作曲させてもらったの。最初は私で良いの?って、ちょっと戸惑ったんだけど校門に木彫りで『作曲 NOKKO』って掘っていただいて。なんだか恐縮しちゃって」
中村「NOKKOちゃんは母親と歌手のオンとオフってある?」
NOKKO「ものすごくある。歌う時は保護者会には絶対に着て行かない服を着るし(笑)。でも保護者会に行っている自分も自分だし。この職業をやっていて面白いところっていうのが、まるで熱湯から冷水に変わるような、ものすごい温度差があるんだよね」
中村「あるある。子どもを育てている時の私なんて人に見せられないくらいすさまじいから。ここに今いる中村あゆみとは全然違う(笑)」
NOKKO「そうなんだ(笑)。子育てがちょっと落ち着いてライブを再開した時、ビルボードライブのセカンドステージが夜の11時ぐらいに終わってクールダウンしようとして楽屋で休んでいたら、うとうとして寝ちゃったの。そしたら『ちょっとパンを切ってはさんでおいてね』って思わず寝言が出てしまって。それをスタッフが聞いていたのよ(笑)」
中村「面白い(笑)」
NOKKO「すごくない?」