おかもとまり、芸人引退後は子育てと仕事を両立 ものまねは「息子を笑顔にできれば十分」

「クライアントさんに喜んでもらえるように」とフリー活動に励むおかもとまりさん【写真:舛元清香】
「クライアントさんに喜んでもらえるように」とフリー活動に励むおかもとまりさん【写真:舛元清香】

来春に小学校に入学する息子はYouTubeが大好き

 全力投球の姿勢には、芸人時代の苦い思い出がある。飛行機で行った地方出張で、競輪場での営業仕事。渾身(こんしん)のものまねは、全くウケなかった。そのとき感じたクライアントへの申し訳なさは、今でも思い出す。「舞台やテレビの仕事で役に立てなかった分を、今の仕事では、しっかり対価以上に恩返ししたいという思いがあります。だから、いまは声をかけてくださったクライアントさんに喜んでもらえるように一つ一つ、しっかりお仕事に取り組んでいます」という。

 SNSアカウントを常に動かして、インフルエンサーの活動につなげる意味もあり、料理や息子と過ごす様子を日々アップしている。一方で、ネットの誹謗(ひぼう)中傷は深刻化している。過去に自宅を晒された経験もあるため、アップの際は細心の注意を払う。「誹謗中傷を書き込む人にも親や子ども、大切な人がいるはず。自分が他人を傷つけていることを、大切な人が知ったらショックだと思います。私は、子どもに見られたら恥ずかしいことはしない。そう思って行動しています」と話す。

 息子は来春に小学校に入学する。YouTubeが大好きでYouTubeに出たいと言っているという。メディアに顔と名前を出すことの大変さは身を持って経験してきた。母としての思いは複雑だ。「ママは大人だから自分で責任を持ってYouTubeに出ているのよ。6歳の子どもがYouTubeに出たら、まったく知らない怖い大人から、こんなかわいい子がいるんだ! と誘拐されちゃうかもしれないよ」と諭している。ただ、息子が大人になったときの決断は尊重したいとも考えている。

 再びお笑い芸人の道へ戻ることはあるのか。「絶対にやりたくないというよりも、できないです」と笑顔を見せながらも断言した。「芸人さんは素晴らしい方ばかりでしたし、笑いのためにネタ一つを追求していくシビアな世界で貴重な経験をさせてもらえたのは誇りに思います」。

 いま自慢にしているものまねがある。「ニワトリのものまねを息子にやると、めちゃくちゃウケるんです。いまはこのものまね一つだけ、息子を笑顔にできれば十分です。でも、この間、遠足のときに息子の友達に披露したら、リアルすぎてざわつきが起こりました(苦笑)」。そこは芸人の名残なのか、しっかりとオチを付けてくれた。

□おかもとまり、1989年12月13日、群馬県藤岡市出身。2006年に地方アイドルとしてデビュー。女優や女性タレントのものまね芸、ものまねメイクでブレーク。グラビアでも話題を集めた。18年にものまね芸人としての活動を引退した。映画「青の帰り道」の原案、アニメ「ウシガエルは、もうカエル。」の原案・企画などクリエーターとしても手腕を発揮。(株)minto.代表を務めている。

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