顔面48発被弾の壮絶KO負け後に妊娠発覚 20歳の女子格闘家・古瀬美月が語るSNS大炎上の本音
“バカサバイバー”青木真也からの苦言と助け舟
1年3か月以上たった今でも、いまだに見返せない試合映像。しかし、格闘家としては人が良すぎる浅倉を激怒させ、彼女のキラーな面を引き出した唯一の存在が古瀬なのだ。そう伝えると、「レアです」と笑顔を見せる古瀬。悪びれないというか天然というか、なんとも憎めないキャラを醸し出す。
しかも「自分は試合でいい動きを出したいためにやったことなので、それに関してはあんま反省してないです」と試合前にリラックス状態を作り出すための方法だったことを強調した。
果たして、波紋を呼んだのはこの後である。なにせ試合後の古瀬は、唐突にも「少なくとも1年……長くお休みを取らせていただきたい」と突然の休養宣言。せっかくRIZINに出られるチャンスまでつかんだ古瀬に、いったい何があったのか。
「あのー、仕事との両立が結構シンドくて。その当時、大人の方からは『まだ20歳じゃん』って言われたんですけど、大学も辞めて、格闘技しかやっていないのってどうなんだろう? みんなは専門学校、大学、就職……ってやっているのに、私はこの後、本当にどうやっていくんだろう? ちょっと資格を取ったり、働いたりしないとマズいと思っていて。後は体調不良が続いていたのもあって。下地を作らないと生きていけないみたいな、変に病んじゃって」
将来への漠然とした不安と体調不良。しかしながら、そんなことを世間が分かってくれるはずはない。師匠的な立ち位置にあった“バカサバイバー”青木真也はツイッターでこんな言葉を発した。
「覚悟がない。恥ずかしい。責任を全うできないなら人前に立たないほうがいい。恥ずかしい」
8月10日の深夜24時53分の投稿だった。一見すると厳しい書き方になっており、裏を返すと青木による助け舟とも受け取れるが、古瀬にとっては雑音にしか聞こえなかったのではないか。
それでも古瀬は、この頃の心境に関して、「全部に対して『はい』って思っていました。『すみません』って。試合に負けたし、何にも言えないなっていうのがあって、でも、黙っているしかないのもまた悲しくて、しばらくツイッターは消していました」と語っている。
騒動の後、人生における重要な知らせが…
この時、古瀬はスマホにあるツイッターのアイコンそのものを削除したという。また、「とくに青木さんとかのそっちの界隈の人たちのツイートは絶対に入ってこないようにミュートにしまくってたので……。すみません」と答える古瀬。青木からすれば期待の裏返しだとしても、当の古瀬にそれを聞き入れる余裕はなかった。
そんなことを知ってか知らずか。今度は古瀬に勝利した浅倉が、翌々日に自身のツイッターで「そうしなきゃいけない何かがあるならそれはそれでいいんだけど、本当になんの意味もない試合になってしまうね。うーん……」と、「休養宣言」を口にした古瀬へのメッセージと思われるツイートを投稿した。しかも「言いたいことは我慢するタイプです。この先ははっきりは言いません」と、何に対して言ってるのかは明かさなかったこともあって、さらなる波紋を呼ぶことに。
古瀬からすれば、KOで敗れた上に、プロとしての取り組み方を問われる言動が、格闘技への冒とくに近い印象を持たれてしまうことになる。だが、そんなことはつゆ知らず。古瀬は比較的のびのびとした生活を謳歌(おうか)していた。
「その(ツイッターを遮断していた)期間、すごく気持ちよく生活できていたので(笑)。でも、人に見られているんだなっていうのは感じましたし、あの後、浅倉選手がRIZINに出るたびに(古瀬戦の映像が)使われるので、あー、もう、見とけよ! って思っていますね」
ちなみに浅倉戦翌日にあたる8月10日に投稿したツイートは以下の通りだが、これを境に10日間、古瀬は自身の投稿を控えている。数件のリツイートが見受けられるが、自身の言葉を発していない。
「皆さんからのリプやDM全て拝見させてもらってます。人としてとか社会人としてとかプロとしてとか。まあこれから参考にさせて頂きます。ありがとうございました」(原文ママ)
古瀬からすれば、甘んじて受けるしか方法がない。そんな心境だったのかもしれない。それでも8月20日には以下のツイートを投稿した。
「1年って早いですよね。良くも悪くも、1年で人って変わってしまう。いや、変われるんですね生きてて良かったです。これからも心身共に強くなれるよう頑張ります」(原文ママ)
そしてまた、そこからさらに10日ほど期間を開けて、次に古瀬が投稿したのは9月1日だったが、実はこの後、古瀬にとって、人生における最も重要な知らせが舞い込んでくることになる。なんと妊娠が発覚したのである。
【後編】に続く。