尾崎亜美、母の死で「曲を作ることができなくなって…」 救われた中学校歌作曲の依頼
私たちは格好良いって言える2人でありたい
小原「彼女にとって音楽を作っている時間がものすごく大切な時間ですから。これまで何回も背中を押したことがあったかもしれないけれど、音楽室と呼んでいる自宅の部屋にこもって黙々と作業をしている間は余計なことは言わないようにと思ってました。やっぱりこれまで制作する時間がなかなか取れなかったですから。一生懸命曲を作っている姿を見ると応援したくなりますし、すごくうれしかったですね」
尾崎「でもご飯はちゃんと作ってましたよ（笑）。午前中にタイマーをかけてお料理を煮込んで、タイマーが鳴ったらキッチンに戻ってという。おいしいご飯があるから頑張ろうと思って作業をしていましたね。いつもは食べ終わったら一緒に後片付けをするんですが、そんな時は小原さんが、『作業に戻りたいでしょ？』と言って、よく後片付けをしてくれました。小原さんもほかのレコーディングで忙しかったんですよね？」
小原「僕は外のスタジオが多くて、彼女は自宅作業が多かったのでね」
尾崎「録音から編集から何から何まで自分でやらなきゃいけなくて。でも歳をとって喉のトラブルもすごく多くなってきたので自宅で録音できたのは、すごくありがたかったです。しっかりコンディションを整えて歌えたので『今日はめっちゃ声が出るぞ！』とかそんな感じでやってましたね」
小原「彼女が歌入れの時は僕がエンジニアを担当して」
尾崎「そうなんです。うちは役割分担があって、彼は『リズム大臣』で私は『ハーモニー担当』。いざとなったら相談に乗ってもらいました。以前はそんな気配りの人じゃなかったんですけど（笑）。段々とですね。段々と」
小原「アハハハ（笑）」
尾崎「そういう人になってくれたと思います」
小原「彼女は変わらないですね。昔から自分のことよりも人のことを最初に思う人ですよ。それは僕にはまったくできないことでね。すごい人だなって思いますよ」
尾崎「介護を経験したことも大きかったのかもしれないですね。周りのお友だちの心配をしたりするのは、割と昔から癖なのかもしれません。アルバムに入っている新曲の『フード ウォーリアー』はまさにそんな歌で、お友だちの食生活が気になって『みんなちゃんと食べてますか？』と歌っています（笑）」
小原「そんな感じで彼女も僕も健康でできる限りお互いに音楽をやり続けられたらいいなと思っていますね。僕も屋敷豪太や奥田民生ともこれからもやっていきたいし、最近、松任谷正隆、林立夫、鈴木茂と『SKYE』（＝スカイ）というバンドでメジャーデビューしたんですよ。それも楽しみたいですね」
尾崎「彼は『バンドマンの鏡』と言われています（笑）。小原さんは70歳になりましたが、高齢者でも自然体で格好良い生き方をしてほしいです。SKYEのデビューなんてまさにそう。70歳の日本の音楽を作ってきた人たちが今デビューアルバムを出すなんて。それこそ格好良いですよ」
小原「頑張ります（笑）」
尾崎「ちょっと前の私たちだったら格好悪いなと思っていたことが、これから現実としてやってきます。それでも私たちは格好良いぞって言える2人でありたいですね。それが同じ世代の人たちの励みになったり、『あのおじいさん、おばあさん、なんか格好良いよね』って若い人たちから言われるような生き方をしていきたいので、格好良い音楽をずっとやっていきたいです」
□尾崎亜美（おざき・あみ）1957年、京都生まれ。76年3月シングル「冥想／冬のポスター」でデビュー。現在のプロデューサーの草分け的存在となる。主なヒット曲は、南沙織「春の予感」、杏里「オリビアを聴きながら」、高橋真梨子「あなたの空を翔びたい」、松田聖子「天使のウィンク」、観月ありさ「伝説の少女」など。2021年9月、デビュー45年周年記念アルバム「Bon appetit」をリリース。
尾崎亜美公式HP：“https://www.amii-ozaki.com/”
ツイッター：“https://twitter.com/amii_ozaki”
YouTube「StayHomeMusic尾崎亜美小原礼」
“https://www.youtube.com/channel/UCm1JNyUxj2q6NhO7r2fMjsQ”
□小原礼（おはら・れい）1951年、東京生まれ。青山学院高等部在学中に鈴木茂、林立夫らとSKYEを結成。72年、サディスティック・ミカ・バンドにベーシストとして参加。その後渡米し、イアン・マクレガンバンドに参加。これまでロン・ウッド、ジム・ケルトナー、ボニー・レイット、矢野顕子、尾崎亜美、屋敷豪太、奥田民生らと共演。21年、SKYEでメジャーデビュー。デビューアルバム「SKYE」を10月27日リリース。
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