RIZIN TRIGGER参戦の奥田啓介が激白 「他流試合」の前には「必ず高山VSフライ戦を観ます」
「他流試合」の前に必ず観る試合映像はPRIDEの伝説マッチ
参考までに、奥田が「他流試合」に挑む際に、必ずあらためて観る試合映像がある。高山善廣VSドン・フライ戦(02年6月23日、さいたまスーパーアリーナ)である。その理由を「気持ちが上がりますから」と奥田は答えた。
試合内容の詳細は省くが、今や伝説となっているPRIDEでの同一戦は、ゴングが鳴ると同時にスーパーヘビー級の両者が殴り合いをはじめたかと思うと、接近してお互いがお互いの肩をつかんだまま、空いているほうの腕で、さらに殴り合いを繰り広げるという、まさにとんでもない“闘い”だった。
結果は6分10秒、高山がTKOで敗れたが、誰も高山の黒星を責める者はいなかった。もちろん、敗れた高山は悔しがっていたが、高山は変形した顔面のまま、試合後のインタビュースペースに姿を現して、取材陣の質問に答えていたのを記憶している。高山にとっては後世に語り継がれる「出世試合」だった。
「あれこそ、俺が思うプロレスを体現していると思いました。そのとき、俺はただのプロレスファンなのに、俺がやりたいと思っていることをみんなの前で披露してくれていると思ってうれしくなったんです」
奥田が初めてその試合を観たのは小学生のときだった。
「高山さんとは1回、タッグを組ませてもらったことがあって……。だからここからは、ちょっと真面目な奥田啓介になると、今回の試合には必ず勝って、僕なりにできることを僕はしたいと思います」
奥田は自分自身を振り返った時に、リング上で観た一つの試合が、人の人生を変えてしまうことを知った。
「だから僕が挑戦をしていくことで、次なる奥田少年が1人2人増えていったら、僕の闘う意味もありますからね。それと見ている人には僕がやること全部を肯定しろとは思っていなくて、むしろプロレスラーがなぜRIZINに出てくるのかって思うヤツもいるだろうけど、常に賛否があって、何かしら変えていきたいと思っているんです」
たしにRIZINでの「他流試合」に挑もうとするプロレスラーが存在することは素晴らしいと率直に思う。そう告げると、「まだまだですよ」と言いながら奥田は続けてこう言った。
「でも俺、すげえからな」
照れ隠しの言葉でもあるだろうが、奥田の「他流試合」における勝敗と生き方いかんによって、プロレスラーの存在価値が変わっていくことはたしかだろう。奥田の生き方は是か非か。その行く末を見届けるには、まず「TRIGGER」を確認するしかない!