NiziU「Chopstick」MV、驚きの制作力 RIMAのセーラー服と<柱時計5時5分>の謎に迫る

ラストのピースサインは数字の「2」

 動画内に観客はいないが、実際にはこのMVを多くのファンが視聴している。今は姿が見えないが、多くのファンが自分たちを見守ってくれている、というMAYUKAの喜びが表現されているようだ。空間を飛び越えたNiziUとWithUの関係性がこのシーンの前提になっている。ラストでメンバー9人はまず両手の人差し指を立てて箸のような形にし、直後に右手の人差し指と中指を伸ばしてピースサインを作っている。これは数字の「2」をも意味しており、私(NiziU)とあなた(WithU)がペア、という希望のサインになっている。

 宙を舞っていた鍵盤が着地し鍵盤を模した「Chopstick」のタイトルが黒バックの中に浮き上がる見事なフィナーレ。鍵盤のイメージをけん引したのはRIMAだ。冒頭のセーラー服の衣装から始まり、RIMAがセンターになる全員ダンスではセット奥の半月型の隙間にピアノの鍵盤が現れている(NINAがセンターの時には鍵盤は現れていない)。天地左右に鍵盤が配置された空間でピアノを弾くのもセーラー服姿のRIMAだった。

「Superman」→「My hero」 文字変化の意味

 さて、歌詞の中に「Superman」が登場するが、The Chainsmokers & Coldplayのコラボ曲「Something Just Like This」(MVは17年2月23日公開、約20億回再生)の歌詞にも「Superman」が登場している。特別な力はいらない、ただ隣に寄り添ってくれる人がいればいい――。そんな気持ちが込められた歌だ。「Chopstick」のMVで印象に残る「SUPER MAN」→「HERO」の文字変化も同様だ。「NiziUの隣に寄り添ってくれるWithU」への感謝と変わらない応援を呼びかるメッセージになっているのだ。

 歌詞と映像に多くの伏線を盛り込んだ「Chopstick」のMVの尺は2分55秒だ。前述の通りRIMAがピアノを弾くシーンで登場した柱時計は5時5分を指していた。「2」は箸1膳とペアを象徴する数字であり、「55」は柱時計が指していた時刻と一致する。偶然かもしれないが、意図的な演出だとすれば驚くべきアイデアだ。ファンを謎解きへといざなう独創的な演出力。「Chopstick」は楽曲、MVともに想像を絶するほどレベルが高く大傑作と言えそうだ。

 テレビの音楽番組に次々と出演しNHK紅白歌合戦への2年連続2回目の出場も決めるなどここにきて音楽活動を一気に活発化させているNiziU。多くの謎を秘めたMVにもあらためて注目が集まるだろう。

次のページへ (4/4) 【動画】謎解きへといざなう巧みな演出に注目…NiziU初アルバムのリード曲「Chopstick」のミュージックビデオ
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