「やったー!私も高齢者!」尾崎亜美&小原礼の“おしどり夫婦”はクイズ番組で脳トレ中
「歳を取ると、どうしてもできるできないは出てきます。でもその中でどれくらい充実した時間を過ごせるかが大切なのかなって」。日本の音楽シーンに大きな功績を残してきた“おしどり夫婦”の2人。「オリビアを聴きながら」「天使のウィンク」の作者として知られるシンガーソングライターの尾崎亜美は64歳。サディスティックミカバンドを経て、単身アメリカに渡り、ローリングストーンズのロン・ウッドら海外のビッグネームと共演し、現在は奥田民生のツアーメンバーとしても活躍するベーシストの小原礼は17日に70歳を迎えた。見た目も演奏もいまだ衰え知らずの2人だが、互いに年齢を意識するタイミングに差し掛かったという。特にコロナ禍でコンサートがほとんどできなかったここ1、2年、2人はどんな毎日を送っているのか聞いてみた。
高齢者は格好悪くない。夫婦2人で健康な毎日を
「歳を取ると、どうしてもできるできないは出てきます。でもその中でどれくらい充実した時間を過ごせるかが大切なのかなって」。日本の音楽シーンに大きな功績を残してきた“おしどり夫婦”の2人。「オリビアを聴きながら」「天使のウィンク」の作者として知られるシンガーソングライターの尾崎亜美は64歳。サディスティックミカバンドを経て、単身アメリカに渡り、ローリングストーンズのロン・ウッドら海外のビッグネームと共演し、現在は奥田民生のツアーメンバーとしても活躍するベーシストの小原礼は17日に70歳を迎えた。見た目も演奏もいまだ衰え知らずの2人だが、互いに年齢を意識するタイミングに差し掛かったという。特にコロナ禍でコンサートがほとんどできなかったここ1、2年、2人はどんな毎日を送っているのか聞いてみた。(インタビュー・文=福嶋剛)
今年デビュー45周年を迎えた尾崎は、ニューアルバム「Bon appetit」(ボナペティ)の発売を記念して、9月18日に都内でコンサートを開催した。ゲストに尾崎のデビュー作をプロデュースした松任谷正隆をキーボード奏者として迎え、鈴木茂(ギター)、林立夫(ドラム)、そして小原ら、日本のロック、ポップスの歴史を作ってきた古くからの仲間に囲まれた久しぶりの有観客ライブ。まるで尾崎がスペシャルコースの手料理で大切な人をもてなすように1曲1曲を丁寧に届けていく音楽のレストランのような特別な空間となった。
尾崎「すごく感謝しながらのライブでした」
小原「コロナ禍の1、2年を過ごしてみて、一つ一つのライブとか楽曲がとっても大事だなって思うようになりましたね」
尾崎「そう。愛おしいですよね。ステージに立つことが当たり前じゃなくなったから。昨年2月に愛媛でコンサートをして以来、これまで何十個とキャンセルの嵐で、さすがにつらかったですね。そんな中、去年2人で立ち上げたYouTubeチャンネルの配信が私たちの救いになりましたよね」
小原「そうだね。2人だけでやるっていうからスマホカメラを2台音楽室に設置して撮ったんです。それまでは1日が長かったけど、YouTubeを始めたらあっという間に時間が過ぎていきましたね」
尾崎「音楽室というのはわが家にある音楽を作る小さな部屋のことです。そこで真面目に面白いことをやってみようと2人で考えて。私は編集作業が好きなので初めて映像編集に挑戦してみましたけどよく分からなくて。偶然できて『やったー!』って一喜一憂の毎日でした(笑)。お友だちの渡辺謙さんや屋敷豪太さんとリモートで一緒に演奏してもらって」
小原「その間は楽しかったですね。結局1年半くらいどこにも行けなかったですよね」
尾崎「これで2人の仲が悪かったらどうしようかって(笑)」
小原「彼女が料理を作らない人だったら毎日大変だっただろうなとか想像しましたよ。本当にずっと一緒だったから」
尾崎「よく飽きなかったですね(笑)。小原さんは以前アメリカに家があって行ったり来たりでしたし、奥田民生くんのツアーで1週間旅に出たりすることもあるので、今まで1人だけの時間も多かったんですが、最近はずっと日本で一緒に暮らしているんです。でも割と平気ですよね?」
小原「そうだね」
尾崎「小原さんは、朝起きたら『今日は何を食べようか?』ってまず言います。お料理の量を少なめにして種類を増やしたり、テーブルを華やかにするとすごく喜んでくれるんです。やっぱり評価されると頑張れるし、ご飯が楽しいから笑っている時間も多いのかもしれませんね」
小原「食は2人の楽しみですから。晩御飯の最中に翌日のメニューについて話すこともありますよ」
尾崎「特別なお料理の時以外は、普段クイズ番組を一緒に見ながら食べるんです。やっぱり年を取ると『あれ』とか『これ』っていう会話が多くなってくるから頭の体操をしましょうと言って。思い出せない役者さんの名前とかは2人で必死に調べますから(笑)」
小原「最近よく見ているのが『Qさま!!』とか『東大王』ですね」
尾崎「2人ともテレビの前では解答者ですから。私はひらめき系が強くて、小原さんは宇宙とか星とか数字関係に強いんです。だいたいいつも同点です(笑)。なるべく体も心も柔軟に健康でいたいので、そんな風に工夫しています」
小原「僕が録画する係でいつもクイズ番組とか映画を予約してね」
尾崎「そう。映画もすごく好きで、夕食後に映画鑑賞を一緒にすることが多くなりましたね。割と作品の趣味は合っていて人がバタバタと倒れていくものとか(笑)。ハートウォーミングなものとかね。ふと面白そうな映画を1人でていたら『あ、これもしかして録画予約していたかしら?』って音楽室にいる小原さんに聞いてみたりして」
小原「まだ僕も見てなかったら後で一緒に見るんです。ほかにもアメリカのバスケットボール(=NBA)も大好きで、シーズン中は一緒に見てますね。僕は70年代からロサンゼルス・レイカーズのファンなんですよ。マジック・ジョンソンが大学生のころからね」
尾崎「私も小原さんと付き合う前からレイカーズのファンで80年代だったかな。レコーディングでよくロサンゼルスに行ったとき、試合をテレビで見ました」
小原「昔の本拠地だったロサンゼルス・フォーラムにはよく行ったね」
尾崎「おにぎりを作って行ったこともありますね。でも、おにぎりの味はあの会場に合わなかった(笑)」
小原「コービー・ブライアントが亡くなったときは本当にショックでしたよ」
尾崎「新人のころから会場で応援していたので朝ニュースを見て泣きながら小原さんを起こしました。ほかにはお相撲が大好きで一緒に国技館に見に行ったり、私はテニスもよく見ますね」