【週末は女子プロレス♯24】かつては公務員もいじめで挫折 女子プロレスラーが変えた“真っ暗になった人生”「夢はひとつじゃない」

リング上では生き生きした表情が魅力【写真:(C)東京女子プロレス】
リング上では生き生きした表情が魅力【写真:(C)東京女子プロレス】

自身「ポンコツ」と表現 東京女子で光った「無個性」の個性

 角田のほか、安納サオリ、万喜なつみ(現なつぽい)、本間多恵、尾﨑妹加、まなせゆうな、そして、播磨佑紀(現・相羽あいな)。播磨以外、プロレスについてはまったく知らなかった。女子プロの存在もそのとき初めて知ったほどだ。

 それだけに、デビュー後はなにかとたたかれることも多かった。慣れない受け身に厳しい慣習…芸能活動と並行しながら他団体選手との交流もはじまると、女子プロ特有のしきたりを知らずに非難を浴びることもあった。「失敗しては怒られ謝りに行き、そこから学んでの繰り返しでしたね」

 とはいえ、プロレスに愛着が生まれていったのも事実だった。聖地初進出となった18年11・15後楽園では1000人以上の観客が集まり、その光景に感動。プロレスがますます好きになった瞬間だった。

「(アクトレスガールズを)認めてもらうまでに何年かかったんだろうと考えたら、ホントここまでやってきて本当によかったと思いました」

 そして20年11月、角田は東京女子に新天地を求めた。「プロレスを続けていく上で自分が選びたい環境は東京女子一択でした。ほかに考えなかったの?とよく聞かれるんですけど、東京女子以外は1ミリもなかったです。選手の試合を見たときホントに個性があってキラキラして見えたので、ここで継続してやっていきたいと思いました」

 しかしながら、すぐに通用するとは思っていなかった。自身を「ポンコツ」と表現する彼女。実際、アクトレス時代の仲間からも大きく遅れをとっていた。「プロレスに向いているかと言えば向いていないと思います。何か特別な個性があるわけでもないし。それでもプロレスが大好きという気持ちで続けていられる。やめたら楽になれると考えたことは何度かあったけど、やめようと思ったことは一度もありません!」

「普通すぎる」と揶揄されるのも納得と、彼女は苦笑する。しかし、自身より若い選手が多い東京女子において、無個性こそが個性豊かな東京女子では個性となる。タイトルマッチ初挑戦で、角田は「みんなに近づきたい」と考えた。周囲からはなじんでいるように見えても、完全に東京女子の一員になれたとは思っていない。だからこそ王者となり、“東京女子に角田奈穂あり”と認めてもらいたかったのだ。結局、初挑戦でのベルト奪取はならなかった。あれから7か月、彼女の心境にどんな変化があったのだろうか?

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