リング上のファイトそのままに、ものすごく負けん気の強い人だったが、またシャイな一面もあった。札幌の時計台前で「好きです　札幌」のおそろいのTシャツを着て、婚約発表している。「あれは新聞社が『やれ』って言うから……。恥ずかしかったよ。ペアルックなんてさ。今でも思い出すと恥ずかしい」と照れていた。

　寡黙な人でもあった。仲が悪いわけではないが、他の選手と一線を引いていた。理由を尋ねると「うーん、やっぱりライバルだからね。あんまり仲良くなっちゃうと、戦いづらいでしょ」とボソッとつぶやいた。

　何事も余計な口を出さない人だったが、それはまた逆に「ご意見無用」という頑固な心意気の裏返しでもあった。そして「星野さんを怒らせると怖い」と、みんな一目置いていた。

　晩年、脳梗塞で倒れてからは体の自由が利かなかった勘太郎さんだが、天国のリングでは小鉄さんと一緒に、元気に暴れ回っているに違いない。ヤマハ・ブラザーズとして、きっと2人でタッグを組んでいる。間違いない。