大ヒット作「イカゲーム」EP5解説 綱引きゲームで南京錠はなぜ消えた? ジェンダー、労使問題も示唆

Netflixオリジナルの韓国ドラマ「イカゲーム」が世界的な人気を集めている。9月17日に配信が開始されるとNetflix全米1位を獲得する快挙を達成。配信後ほぼ1か月で全世界1億4200万世帯が視聴し、94か国でランキング1位を記録するなどNetflix創業以来最大のヒット作となっている。画面の隅々まで行きわたっている伏線の“構成美”について解説するコラムシリーズ。今回は第5話(エピソード5)について紹介する。

「イカゲーム」の主人公ソン・ギフンを演じたイ・ジョンジェ【写真:(C)Netflix】
「イカゲーム」の主人公ソン・ギフンを演じたイ・ジョンジェ【写真:(C)Netflix】

「綱引き」ゲームで参加者は40人に半減

 Netflixオリジナルの韓国ドラマ「イカゲーム」が世界的な人気を集めている。9月17日に配信が開始されるとNetflix全米1位を獲得する快挙を達成。配信後ほぼ1か月で全世界1億4200万世帯が視聴し、94か国でランキング1位を記録するなどNetflix創業以来最大のヒット作となっている。画面の隅々まで行きわたっている伏線の“構成美”について解説するコラムシリーズ。今回は第5話(エピソード5)について紹介する。(文・構成=鄭孝俊)

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(※以下、ドラマの内容に関する記述があります)

「イカゲーム」第5話のタイトルは「平等な世の中」。前回に続き3番目のゲームとなる「綱引きゲーム」が描かれた。綱引きは、10人1組の団体戦。はるか上空に設営されたタワーの上で綱引きをして、相手チームを中央の空洞から下に落とせば勝ち。落とされたチームは全員コンクリートの冷たい床に全身を打ち付けて即死する運命だ。

 主人公のソン・ギフン(イ・ジョンジェ)のチームは女性3人、高齢者1人が混ざる最弱ぶりを見せていたが、通称おじいさんことオ・イルナムの知恵に従って統制のとれた試合を展開。危うく力負けする寸前でサンウが提案した3歩前に出て相手チームの態勢を崩す作戦を実行。ぎりぎりのところで勝利を手にした。

ネットに多くの考察、消えた南京錠の謎

 この場面で最大の焦点となっているのが勝利した直後に映し出されるイルナムの手元だ。第4話の終わりあたりの映像を見ると、イルナムの手錠には逃げられないようにするための南京錠がかけられている。しかし、第5話の冒頭でチームが仰向けに倒れ込んでいる姿を見ると、イルナムの手錠から南京錠が消えているのだ。

 この場面についてはネットでもしきりに考察されており、「イカゲームの黒幕はイルナム」「万が一の時には逃げられるように外していた」などの推理が上がっている。このような細部にまで伏線を張って結末のヒントをほのめかしているところが秀逸だ。

「綱引き」ゲームで参加人数は80人から40人に半減。逆に優勝賞金は416億ウォン(約40億円)に膨れ上がった。ギフンの陣営はリーダーを置かずメンバー全員が平等という姿勢。ギフンがミニョに「ドクスのチームからなぜ追い出された?」と聞くと、ミニョは「私の意思で出てきた。チンピラどもとはレベルが合わなくて」とうそを付くが、力が弱いから切り捨てられたのだ。綱引きゲームは実はジェンダー(社会的・文化的につくられる性別)を映し出している。男性社会から女性が排除されるというジェンダー格差について問題提起しているようだ。

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