中止&終了「カワサキ ハロウィン」 主催者が明かす“コロナの影響じゃない”本当の理由
日本最大のハロウィーンイベントに成長も、宣伝効果との採算にギャップ
2~3年目からは口コミで認知度も増え、テレビ取材もあって徐々に規模が拡大。最盛期には参加者3000人以上、観客数10万人を超える日本最大規模のハロウィーンイベントにまで成長した。それだけの規模となっても大きな事故やトラブルが起こらなかった裏には、徹底した緻密な安全管理対策があった。
「いきなり10万人が押し寄せてきたわけじゃなく、年々2割増しくらいで20年かけて拡大したことで、対応する側もノウハウが蓄積していった。交通整理や信号操作も警察と綿密に打ち合わせをして、隊列の移動も1秒単位でマニュアルを作りました。騒音問題も、バス通りだからバスの走行音を越えないくらいを基準にしたり……。1年目2年目こそクレームもあったけど、規模が大きくなるにつれてそういう声も減っていった。街に認められた、受け入れられたとうれしくなりましたね」
街に愛されるイベントに成長したが、2015年頃には盛り上がりのピークを過ぎ、少しずつ応募数に翳りが見えてきたという。一方で観客数は右肩上がり。規模が大きくなり過ぎたことで、警備の労力と宣伝効果との採算が見合わなくなってきたことが終幕の一端だ。渋谷の騒動など、過熱化したハロウィーンブーム全体にネガティブな印象がついたことも無視できない要因だった。
「いろいろとやり尽くした感があった。持ち上げられすぎて美化されちゃったというか、求められるホスピタリティはどんどん上がるのに、警備面でのプレッシャーも年々高まっていって。そのころには各地でハロウィーンイベントが行われて、メディアの扱いも小さくなる反面、ネガティブな報道も増え始めて。もとは企業宣伝の目的で始めたイベント。チッタというとがった企業のエンタメの在り方を若者に伝えたくて始めたが、市民権を得たことで企画も丸くならざるを得ない。潮時でした」