MAO「優勝予想の大穴でありたい」 “DDTの自由人”が掲げる2つのこだわりとは【連載vol.66】
「DDTの自由人」MAOがD王GRAND PRIX2021Ⅱを前に「らしさ」を全開。「優勝予想の大穴でありたい。勝っても負けても腑に落ちる選手でいたい」と独特の表現で優勝を誓った。
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「DDTの自由人」MAOがD王GRAND PRIX2021Ⅱを前に「らしさ」を全開。「優勝予想の大穴でありたい。勝っても負けても腑に落ちる選手でいたい」と独特の表現で優勝を誓った。
サウナ部「The37KAMIINA」に所属するMAOだが「パワーはKO-D無差別級王者・竹下幸之介に、跳ぶのは上野勇希に、デスマッチは勝俣瞬馬に任せて、僕はとにかく自由にしたい」とにっこり。
反則の拳ひとつをとっても「ユーモアのあるグーパンチ」を目指している。反則をするのは「自分にとってベストの答え」だからだ。勝つために、その時に何よりも有効な技を繰り出す。
もう一つのこだわりは「ファンに不快感を与えない反則プレー」だという。私生活とリング上に境界線を引きたくないMAOは「楽しいプライベートライフをリング上で変えたくない」と言ってのける。
普通は「リングに上がると、人が違ったようになる」のがレスラーだが、MAOの描くレスラー像は一味違っている。2020年2月、時のKO-D無差別級王者・田中将斗に挑戦した時には、王座奪取には失敗したものの、王者から「変なプロレスするよな」と評された。MAOにしてみれば「してやったり」なのだ。
15年にデビューして6年。日々、少しずつ「地味に進化している」自負がある。様々なレスラーのオマージュを取り入れているが、ネタも増えMAO流のアレンジにも磨きがかかっている。
「僕はオタク気質」と明言し「細かすぎるものまねネタ」を披露している自分に一人で悦に入ることもしばしば。実際、レジェンドからインディー団体の選手まで「歩く選手名鑑か」と思わせるほど、日本や海外マットの選手に詳しかったりする。
12年、新日本プロレスでオカダ・カズチカが絶対エースだった棚橋弘至を下した一戦を伝える「ワールドプロレスリング」に、衝撃を受けプロレスに目覚める。その後、1990年代のみちのくプロレスを知り、プロレスラーを目指すことになった。
「王道や四天王プロレスには、心が動かなかった」というから、ファン時代から独自のプロレス哲学が芽生えていたようだ。「サプライズのあるプロレス。対戦相手をびっくりさせる。そうすれば、ファンの人たちも驚いてくれる」。珍しく熱い口調になり力説した。
もちろん変化球を投げられるのも土台がしっかりしていればこその話。コロナ禍の直前、2年前に英国遠征をしているが、平日はブリティッシュレスリングのスクールに通い、週末に実戦に臨む生活は、カルチャーショックであり多くのことを学ばせてくれた。「向こうでは基礎体力をチェックしないで、いきなり技を教えたりする。危ないシーンを何度も目撃した。反面教師としてとらえて、基本がいかに大切さを改めて思い知った」と振り返る。
BブロックにエントリーされたD王GPは11月3日、東京・大田区総合体育館大会で開幕するが、この日、MAOは公式戦ではなく「スペシャルハードコアマッチ」(勝俣、MAO組VSクリス・ブルックス、ドリュー・パーカー組)に出陣する。「公式戦を前にケガできないので、いつも以上に緊張感を持ってリングに上がる」といつになく神妙な表情を浮かべた。