藤井3冠が強さ見せつけた竜王戦第2局 序盤に恐ろしい誘い水が…! 真田圭一八段解説

真田圭一八段
真田圭一八段

1日目でほぼ決着がついていた…

 ところが、平然と△7四歩と竜を作ってみろと言われると、よく読んでみると竜を作っても先手良しとは言えない。そのことに豊島竜王は気付いた。つまり▲7五歩はいい手ではなかったのだ。だが、同じ失敗を認めるなら竜を作って耐える順も有力だったと思う。

 実戦は▲9五歩とアヤを求めたが、かえって傷口を広げることになってしまった。42手目△9七歩と打たれた局面は、完全に端攻めを逆用されてしまった。ここまでが1日目の展開。残念ながらこの段階で、相手が藤井3冠ということを考えるとほぼノーチャンスになってしまっていた。

 迎えて2日目、リードしてからの藤井3冠の指し口には参考にすべき点がある。いつでも行ける△7七歩成をギリギリまで決行しなかった。優勢を意識しながらも、流れやなんとなくで指さず、持ち時間もふんだんに使い、しっかり読みを入れて間違いなく勝てる順を選んでいる。

 将棋はもちろん優勢になるに越したことはないが、リードした側にも特殊な落とし穴がある。リードしているが故、有力な指し手が多く目につく。踏み込んで良し、安全勝ちを目指して良し。だが選択肢が増える分、一つ一つの変化に対する読みの精度が薄まって、逆転の罠を見抜けず転んでしまうことがある。

 藤井3冠は若いが、その辺りの勝負の怖さを熟知しているかのように、優勢になってからも浮わついた感じは一切ない。これもプロになってから変わらない藤井3冠の強さの一つだ。

 藤井快勝で、これで7番勝負は藤井3冠の2連勝。正直、今の藤井3冠相手に星の差2つはきつい。だが、とにかく豊島竜王が集中すべきは、藤井将棋に対する有効な対策を見つけることだ。互角以上に戦える手応えを得られれば、一気に流れを変えることも可能だ。

 ここ数か月で誰よりも藤井3冠と対戦している豊島竜王は、誰よりも藤井将棋の本質に触れているとも言える。高い高いハードルだろうが、最高棋戦のタイトルホルダーとしての意地を見せてほしいと思う。



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