藤井3冠が強さ見せつけた竜王戦第2局 序盤に恐ろしい誘い水が…! 真田圭一八段解説

豊島将之竜王(31)に藤井聡太3冠(王位、叡王、棋聖=19)が挑戦する第34期竜王戦7番勝負第2局が22、23日、世界遺産「総本山仁和寺」(京都市)で行われ、後手の藤井3冠が70手で勝利。1日目から優勢を保ち、恐ろしいほどの力強さを見せつけた。竜王戦第2局を振り返る。

竜王戦第2局も制した藤井聡太3冠【写真:ENCOUNT編集部】
竜王戦第2局も制した藤井聡太3冠【写真:ENCOUNT編集部】

序盤に早くも山場が訪れていた

 豊島将之竜王(31)に藤井聡太3冠(王位、叡王、棋聖=19)が挑戦する第34期竜王戦7番勝負第2局が22、23日、世界遺産「総本山仁和寺」(京都市)で行われ、後手の藤井3冠が70手で勝利。1日目から優勢を保ち、恐ろしいほどの力強さを見せつけた。竜王戦第2局を振り返る。

 藤井3冠の先勝で迎えた第2局。豊島竜王としては勝って星を五分に戻したい一戦で、私の視点では、7番勝負を占う重要な一戦と位置づけている。

 理由は、出だしの2局で先手と後手での戦い方がある程度見えてくるので、シリーズ全体の見通しが立ってくるということ。この、長い番勝負での基本に加えて、特に弱点らしい弱点のない藤井3冠と戦う上においては、有効な藤井対策が見いだせているのかという点がはっきりするのも出だしの2局だからだ。

 第1局は藤井勝ちとはいえ、内容的には難解な展開が続いた。第2局は豊島竜王が主導権を握りやすい先手番でもあり、藤井対策の精度に注目していた。

 さて、戦型はこの2人の定番となりつつある相掛かり。そしてこれまでの対藤井戦における指し方同様、豊島竜王は序盤から積極的に動いていく。

 19手目▲6六角から、小刻みに角を動かしていった。その後、早くも山場が訪れる。右銀を素早く前線に繰り出した藤井3冠が、30手目△7一金と自陣に手を入れた局面だ。この手は基本、決戦に備えた一手で、桂にヒモをつけつつ飛車交換にも強い形となっている。

 だが、前線に繰り出した銀が中途半端なままでもあり、ある意味「突っ張った手」ということもできる。豊島竜王からすれば、中途半端な△6五銀にお引き取り願うのであれば、▲8六歩~▲8七銀と手厚く指せば長い中盤戦になったと思われ、この展開も有力だったと思う。

 だが、△7一金には誘い水となる要素が含まれていた。本譜の進行で、以下▲7五歩△7四歩と進んだ局面がそれだ。▲7五歩は△6五銀を生きて帰しませんよという強い手で、対する△7四歩もそうはさせじという突っ張った手だ。

 問題はこの局面が、▲8六飛と回れば確実に竜ができることを両者が分かっていて進行した点だ。次に▲8三飛成があるが、それを防ぐ△8二歩には▲6六歩で銀が捕まってしまうため、竜作りを防ぐことはできない。

 序盤のかなり早い段階で、歩損、歩切れとはいえ竜ができるのであれば、プロの将棋であればそうそう悪くなることはない。それが誰しも思うことであり、豊島竜王もだからこそ▲7五歩と突っ張った。

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