来年「還暦」を迎える格闘技の聖地に出没する「後楽園ホールの怪人」を君は知っているか?

狂虎シンに自慢の髭を引っ張られる「後楽園ホールの怪人」【写真提供:296氏】
狂虎シンに自慢の髭を引っ張られる「後楽園ホールの怪人」【写真提供:296氏】

怪人「296」の正体とは…意外な名前の由来も

 ニグロは良い言葉ではない。実際、声をかけられている現場に居合わせた黒人選手から「なんだ?」と怪訝(けげん)な顔をされたこともある。

「何でなんだ?」とゴディさんに聞いたが「理由なんてない」と要領を得ない。ゴディさんにも他意はなかったようだが、何とも居心地が悪い。そこで「296」と表記すようになった。

「296さん」と言えば、選手、関係者には通じる。入場テーマ曲のリストに「協力・296」と記されていたりするのだ。

 上京後、20歳前からプロレスショップのアルバイトから始まり、団体のお手伝いなどをするようになり、すっかり業界人の仲間入り。様々な団体の興行、特に後楽園ホールには通いつめた。

 実はレスラーやリングアナウンサーとしてリングにあがったこともある。マネジャーも務め、レフェリーとして誘われたが、それは「できない」と断った。興行も開催しイベントやサイン会も行ったが、今は裏方に徹している。

 お店もあり、今では大日本プロレス、666、天龍プロジェクトなどの大会、月に数回しか後楽園ホールには足を運ばないのだが「296さん、いたよね」と居なかった大会の話でも、しばしばその名が飛び出す。後楽園には必ずいる。住んでいるのでは? と「よく言われるけど、いないことの方が多い」と本人も頭をかくばかり。

 巨体に髭面。その容貌からも「後楽園ホールの怪人」そのもの。失礼ながら、知らなければちょっと怖いが、おおらかで優しい人だと選手、関係者から評判が良い。

 たまにしかいないのに、いつもいると思われる296さん。いないのに、いたと断言される296さん。実物を見かけたらラッキーかも知れない。

次のページへ (3/3) 【写真】ロビーに出没する「後楽園ホールの怪人」の正体
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