浅倉カンナ、RIZIN次戦への決意 “純情”からの変貌 「キラー浅倉」を発動させるか
まさに「キラー浅倉」48発の顔面パンチ
その結果、今まで見たことがないほどの情念がリング上で爆発し、非情なまでのパンチの雨あられが古瀬に浴びせられた。今回、改めてその試合映像を確認したが、実にその数48発! まさに「キラー浅倉」が出現した瞬間だった。今回改めてその話を聞こうと水を向けると、意外な答えが返ってきた。
「すみません、ホントに(苦笑)。あの試合は自分でも今思えば、本当に情けないですね。あの時は、初めてセコンドの声が一切聞こえなかったですね、もう怒りすぎて。そんなことで怒っている自分が情けないんですけど、ホントにもう、当てたい当てたいで」
浅倉にとっては、それだけ感情が出た試合だった。そして今回、改めてその真意を説明する。
「(古瀬にはRIZINに)出るだけで満足してほしくなかったんです。そのときも(浅倉が)挑戦される側だったので、その後の続き(古瀬が勝ってからのビジョン)がないと、自分もその試合をやった意味がないし、なくなっちゃうんじゃないかと思って。満足してほしくなかったですけど、なんかあの試合は感情が出ちゃいましたね」
いずれにせよ、浅倉のキラーな面がリング上で見られたことが“神”だった。
「それを引き出せるのが、格闘家の強い人とまだそこまでいけない人の違いはあると思います。ケンカができるかできないかっていう。自分の中ではまだそれがなかなかできないので、試合中。自分の中では面白かったですね」
古瀬には失礼な言い方かもしれないが、古瀬が発したリングに向かう姿勢が、浅倉にとってはなめた態度に映ったおかげで、それまで眠っていた浅倉のキラーな面が開花された。それを引き出したのは間違いなく古瀬である。要は、浅倉のようなベビーフェースが存在感を際立たせるには、いかにヒールの存在が重要か、という証明だった。その意味では古瀬万歳というか、あの太々しさはなかなか見られるものではない。今後も決して悪びれることなく、ぜひとも女子格闘技の世界をに大いに騒がせてもらいたい。
「(古瀬は)力を発揮させてくれた選手ですもんですね。あとは自分の課題として(相手が誰でも)そこの気持ちが出せるように頑張りたいですね」(浅倉)
藤野恵実のすごみとバンタム級グランプリに向けた扇久保博正のすごみ
1年前、浅倉にとっては複雑な心境に陥った試合を体験した一方で、最近、浅倉にとってプロのすごみを確認した試合があった。「Yogibo presents RIZIN.30」(9月19日、さいたまスーパーアリーナ)での浜崎VS藤野恵実戦がそれだ。
「あの試合はあの人たちがいたからこそ、(自分が)天狗にならずじゃないですけど。この人たちがいつかできるのかなっていう思いでやってたんですけど、あの2人がさいたまスーパーアリーナで試合しているのは…、ずっとやっている人にはスポットライトが当たるんだなと思ったし、ああいうケンカみたいな試合ができるのはうらやましいなって思ったし、自分が一番に思ったのは、この人たちを超えたいなって思いましたね」
文字通り、殴り合いとなった壮絶な一戦を制したのは、やはり王者・浜崎だった。
「(藤野は)目が開かないくらい腫れてましたもんね。それでも打ち合いに行く藤野さん…。藤野さんとは試合前に練習とかさせてもらっていたんですけど、自分はまず49キロに落とせる藤野さんが、プロとしてすごいなって、そこはもう尊敬でしたね。(普段は)52キロでやっていた選手だから、筋肉も人より多いだろうし、さすがプロはこういうことだなーって。あの試合はすごかったです」
では、ここで浅倉に質問。もし自分の顔面がいわゆるお岩さんのように腫れる試合になったらどうするか?
「いやあ、でも自分もそうですけど、自分も腫れようがなんだろうが、試合は試合なので勝ち行かないといけないし、どうとも思わないんですけど、あれだけ前に出られるのはすごいですね」
ちなみに浅倉には、現在RIZINで開催中のバンタム級JAPANグランプリに関しても意見を求めている。
すると浅倉は「トーナメントはいいなって思いますね」と話しながら、「あの階級のあのレベルのトーナメントは…やっぱりハードだなって思います」と舌を巻いた。同グランプリには、浅倉の所属するパラエストラからも、扇久保博正が参戦。大みそかに開催を予定している準決勝・決勝戦に向けた調整を行っている。
「扇久保さんて、本当めちゃめちゃ練習するんです。自分では考えられないくらい。1人でもずっと練習するんですよ。そういうイメージがあるので、トーナメントをずっと続けている間、ずっと100%でいる扇久保さんがすごいと思います。もちろん、抜いているところは抜いているんだと思うんですけど、それでもすごいなと思って。やっぱりトーナメントはハードですね」