長野県オリジナル新種ブドウ・クイーンルージュ(R)は第2のシャインマスカットになれるか
海外への違法流出対策はとられているのか?
19年に「長果G11(チョウカジーイチイチ)」という名前で品種登録されたばかりのこのクイーンルージュ(R)。味や見た目の良さという点でクイーンルージュ(R)は、シャインマスカットに負けない魅力があることがわかった。大事なこの日本産のブドウは守られるのか、という点も気になるところだ。シャインマスカットは苗が海外へ流出し、大量に栽培され安く販売されていることが以前から問題視されている。海外流出による日本の損失は、かなりの金額に上るといわれている。クイーンルージュ(R)はその対策はとられているのか。
「クイーンルージュ(R)は、県の生産振興方針(海外流出防止の為の種苗管理と果実品質の向上)に同意いただき、長野県又はJA全農長野と利用許諾契約を締結した県内生産者に限り栽培を認めております。また、国の事業を使い、中国・韓国へ品種登録出願をしたほか、主要な輸出先国における海外向け商標『妃紅提(R)』を取得し、万が一流出した場合においても権利侵害に対応できる体制を組んでおります」(長野県農業試験場)
長野県の新品種を守り、海外への違法流出を許さない、という固い決意を感じる。
市場デビューとなった21年は、栽培面積128ヘクタール(21年1月1日現在)、生産者数3200人(21年9月2日現在)で約30トンが生産される見込み。販売は長野県内のスーパー、青果店、スイーツ店などが中心で、県外ではまだ気軽に手に取ることができない。22年以降は21年の10倍の300トン以上が生産される予定というから、やがては市場に出回ることだろう。待ちきれず「早く食べてみたい!」という向きは、新宿伊勢丹や新宿高野本店など3大都市圏の高級フルーツ専門店で購入するか、ネット通販を利用すれば購入できそうだ。
最後に、気になる値段だが、シャインマスカットに準じると予想されている。一般庶民にはなかなか手が出ず、日常的にいただく、というわけにはいきそうにない。贈り物か特別の日のごちそうとしていただくのが相当のようだ。しかし、シャインマスカットが高級でもつい手が伸びてしまうように、クイーンルージュ(R)も広く愛されるブドウになっていきそうだ。