長野県オリジナル新種ブドウ・クイーンルージュ(R)は第2のシャインマスカットになれるか

巨峰を親にもつナガノパープル【写真:写真AC】
巨峰を親にもつナガノパープル【写真:写真AC】

クイーンルージュ(R)はシャインマスカットより甘い!

 この9月、やはり種がなく、皮ごと食べられて、糖度が高い新種のクイーンルージュ(R)が発売された。新しいものに目がない人は気になるだろう。クイーンルージュ(R)もシャインマスカットやナガノパープルと同じく、実が大きく立派。しかし、色が違う。黄緑色でも紫色でもない、ルビーのような赤い色。長野県果樹試験場が育成した長野県オリジナルのブドウだ。

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「ナガノパープル(紫黒色)とシャインマスカット(黄緑色)の登場により、種なしで皮ごと食べられるぶどうの需要が高まっていました。これらの品種に続き、赤色品種で県オリジナルの品種育成を強く要望されたため開発しました」(長野県果樹試験場)

 08年、ユニコーンという欧州系の皮ごと食べられるブドウに、シャインマスカットの花粉を交配して生まれた。一般的に、皮ごと食べられる品種は裂果――生発育中や収穫直前に実が割れやすい、という難点がある。割れた実の目立つブドウは当然、売り物にならない。キレイな実がそろったブドウができあがるまで試行錯誤が繰り返され、9年後の17年にようやく育成が完了した。

 開発過程でもうひとつ苦労したのが、赤い色の実を得ることだった。ユニコーンは赤い色だが、黄緑色のシャインマスカットをもう片方の親に用いていたため、なかなか実が赤い色にならなかったという。その点についても試行錯誤が繰り返された。そして見事、“ルージュ”と名付けるほどの赤い色のブドウができあがった。皮ごと食べられる赤系のブドウは全国的にも少なく、クイーンルージュ(R)には希少価値がある。洋菓子店からは「色がきれいでインスタ映えする」「ナガノパープル、シャインマスカット、クイーンルージュ(R)の3色そろったメニューが魅力」と、早くも期待が高まっている。

 そして、何より気になるのが、その味だ。早速、1房入手し食べてみた。すごく甘い。シャインマスカットは糖度19度程度なのに対し、クイーンルージュ(R)は20~21度程度もあるという。数字で示されるまでもなく、食べてみてもはっきりとシャインマスカット超えの甘さを実感できる。甘さにコクがあるようだ。

 また、皮が薄く食べやすく、渋みはほとんどない。大粒で食べごたえがあり、「食感がパリッとしていておいしい」「シャキシャキしていて食感が良い」と感じる人も。ユニコーンとのハーフとはいえ、シャインマスカットの味と香りを、より強く感じるという声もあった。あえてマイナス意見を探せば、酸味もほしい、という声が。果物には甘さに加え酸味もほしい人には「甘すぎる」と感じるかもしれない。ぜいたくなマイナス点だ。

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