検温を“思い出体験”に変える新サービスが登場 エンタメ業界を思う開発者の狙いとは

イベントの主催者やスポーツチームからの問い合わせもあり、これからの展開も期待されている

 検温に着眼したきっかけは「エンタメは入口が大事」という満永さんの考えからだ。「フェスに行くと、まずゲートでテンションがかなり上がると思うんです。入口から笑顔になってほしいという思いが僕の根本にあって、そこからいかに検温自体を楽しいものにするかという風に考えていきました」。試行錯誤の末、たどり着いたのが今回のプロダクトだった。カメラの前に立ち、適正な体温だとそのまま撮影が始まる。「ちゃんと体温も測られているし、その行為自体も楽しくて笑顔になるもの。手元に残ることでわくわくもします」と満永さんはうなずいた。

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 9月中旬には都内の飲食店に実機を設置し、実際に利用する人の動きや反応、オペレーションを検証した。利用した人は小さな子どもから外国人までさまざま。満永さんは「お子さんが体温を測りたくてわざわざ足を運んでくれるというのは、なかなかの価値転換ができたと思う。きちんと娯楽の価値になっている気がします」と胸を張る。安全なイベント運営には検温の他にも消毒やソーシャルディスタンスの確保なども必要だが、「1個1個のステップが全部面白くなったら、もっとイベントが幸せになるんじゃないかと思う」と波及効果にも期待を寄せた。

 サービス発表以来、イベントの主催者やスポーツチームなどから問い合わせもあり、にわかに注目を集めつつある。今後の展望について聞いた。

「今、イベントを開催する側も参加する側も、100パーセント楽しむ気持ちを持てないと思うんです。それがすごくイヤなんです。本来、イベントって楽しいもの。感染症対策をすることは前提ですが、会場に入って、体験して、帰るまでを主催者もお客さんも楽しむことができる設計のサポートになればいいと思っています。それがスポーツ、フェス、美術館かもしれないですし、結婚式の入口にあってもいい。みんながパッと楽しくなれる舞台で、帰ってからも楽しいアイテムになっています」

 一方で、課題もある。今回店頭に設置したプロトタイプモデルのイベント導入を開始しながらも、現時点での量産体制は難しいという。さらに、設置する場所にもよるが、初期段階では無人運用だけでなくサポートスタッフを入れることも検討している。「一気に100台を作ることは現実的ではないですが、まずはご一緒いただける企業さんとコラボレーションしながら数を増やしていきたい」と意気込んだ満永さん。冷え込んでいるエンタメ業界に、新たな風を吹き込みたい。

次のページへ (3/3) 【写真】サーモセルフィーで撮影した実際のフォトカード
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