藤井聡太3冠に急所はあるのか!? 真田圭一八段が分析する藤井将棋の敗局に見られる傾向
藤井3冠相手だと、互角のはずがいつの間にか悪くなっている!?
次に、激しい攻め合いで勝ち筋を見出だす。序盤でリードを奪えなかった場合、中盤で一方的に攻める展開か、少なくとも激しい攻め合いには持ち込みたい。
藤井3冠の強さは、実は中盤にあると私は思っている。中盤は、戦法・戦型によっても違うし、同じ戦法でも先後によってもわずかな形の違いによっても全く展開が変わってくる。自分が攻める、相手が攻める、じっと間合いを図る、激しく攻め合う、押したり引いたりする。中盤を乗り切るには様々な能力が要求されるのだが、藤井3冠はあらゆる展開を苦にしない。これが驚異的で、中盤の対応力が自在な点は羽生九段にも通じる天才性を最も感じる最大の長所だ。
おそらく、多くの棋士が藤井3冠と戦ってみて、互角のはずがいつの間にか悪くなっていてそのまま負かされた――そんな感想を抱いたはずだ。よって、藤井3冠と戦う上では漫然と中盤戦に臨んではいけない。積極的にリードを奪いにいく、つまり激しく攻めることを基調にして戦う必要がある。
適当な距離を取って戦おうとすると、藤井3冠の卓越した大局観で主導権を握られてしまう。ギリギリの攻め合いを恐れない姿勢が絶対に必要だ。それで勝てれば1番、それがかなわなくとも、難解な形勢のまま終盤にもつれ込む。それで十分と思わなければならない。
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秒読みになれば藤井3冠と言えど、ミスが出やすくなる