清水寺で初ロック ギタリストのMIYAVIが上妻、右近ら盟友とともに奉納ライブ

広大な渓谷にギターと太鼓が響いた【写真提供:LDH】
広大な渓谷にギターと太鼓が響いた【写真提供:LDH】

「祈ること、歌うことは僕にとって同じこと」 渾身の音に木々がざわめく

 一息ついたMCでは、新型コロナウイルスや人種差別など世界が抱えている問題に対して「音楽家としてできることは何か」を自問自答し、その問題提起を含め2020年に「Holy Night」が生まれたと説明。「祈ることと歌うことは、僕は同じことと思っています。世界に祈りを。清水の大舞台で音楽ができることに感謝しています。(清水寺の)住職とコラボレーションできたことも意義があること」と思いを込めていた。

 殺陣のスペシャリスト集団・サムライアーティスト「剱伎衆かむゐ」と競演した「Tears On Fire」では、甲冑で身を固めた2人の剣士が、剣を桜の枝に持ち替えて対峙。激しい剣舞の中で、「祈るだけじゃ救えない」「この声枯れるまで 俺は叫び続ける」と歌い警鐘を打ち鳴らした。

 演奏後は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使として、レバノン(2015年)やタイ(2017年)などの難民キャンプを訪問したことから、自分ができる支援に取り組んでいることなどを告白。「一度見てしまったら、目はそらせない。僕たちもこのコロナ禍から未来が見えない怖さを感じた。でもどんなに暗い夜でも『明日が来る』と思えば前に進むことができるはず」と苦しみの渦中にいる人たちに思いを寄せた。

 上妻とは、ベートーヴェンの「月光」をモチーフにした上妻の自作曲「月影」を演奏。紫色に染まった本堂で、一歩も引かない三味線とギターのぶつかり合いを見せた。「STRONG」では演奏中のMIYAVIの右肩に、上妻がその左肩を寄せるシーンも。目くばせをした2人は、互いをたたえるように笑った。

 LEDなどを駆使した空間演出を得意とする「雷光炎舞かぐづち」では、闇を貫くレーザーなどでステージを構成。二刀流の剣士の間に立った「Fire Bird」では、にらみ合う両者の熱を身体で受け、そのエネルギーをギターの音に変えて放出していった。光るバトンを持った女性ダンサーを従えた「Bang!」では、「信じるものだけが見える未来」と力強く宣言。ラストは舞台にひざまずいてシャウトし、聴衆を揺さぶった。

 MCでは前日に行ったリハーサルが、台風の通過と重なり大雨の中で行ったことを吐露。「どうなることかと思ったけれど、スタッフが尽力してくれて今日を迎えることができました。清水寺でロックをする日が来るなんて、思ってもみませんでした」と感謝した。

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