清水寺で初ロック ギタリストのMIYAVIが上妻、右近ら盟友とともに奉納ライブ

世界で活躍するギタリストのMIYAVI(40)が18日に京都市東山区の清水寺で、26日に無料配信するバーチャルライブ企画「MIYAVI Virtual Live 6.0 in 京都・清水寺 “MIYAVI in KIYOMIZU”」の収録を行った。1994年にユネスコ世界文化遺産に登録された同地では、雅楽や歌舞伎など日本の伝統技能が披露されたり、ポップスの奉納コンサートが開催されたことはあったが、ロックは初めて。

世界遺産の「清水寺」でコロナ終息を願うライブを開いたMIYAVI【写真提供:LDH】
世界遺産の「清水寺」でコロナ終息を願うライブを開いたMIYAVI【写真提供:LDH】

世界遺産で初ロック コロナの終息願う 祈りの演奏

 世界で活躍するギタリストのMIYAVI(40)が18日に京都市東山区の清水寺で、26日に無料配信するバーチャルライブ企画「MIYAVI Virtual Live 6.0 in 京都・清水寺 “MIYAVI in KIYOMIZU”」の収録を行った。1994年にユネスコ世界文化遺産に登録された同地では、雅楽や歌舞伎など日本の伝統技能が披露されたり、ポップスの奉納コンサートが開催されたことはあったが、ロックは初めて。(取材・文=西村綾乃)

 日本の伝統芸能のすばらしさを世界に発信したいと臨んだステージには、MIYAVIの思いに賛同した盟友の三味線奏者・上妻宏光(48)、歌舞伎俳優の尾上右近(29)も登壇。午後6時の閉門後に音響などのセッティングが始まり、出演者たちのリハーサルが進められた。

 午後11時前にスタートした本番。真っ白なスーツ姿で清水の舞台に立ったMIYAVIは、深く息を吸い込むと、ギターを背に回して本堂に向かい一礼した。中では同寺の僧侶たちが「般若波羅蜜多(はんにゃはらみた)」と般若心経を読経し始めた。

 MIYAVIの背中には、僧侶たちが唱える「般若心経」がタトゥーとして刻まれている。背にしたギターを身体の前に持ってくると、肉体に記された経典をギターの音に乗せて編み上げ始めた。コロナ禍の世界に平穏を。祈りの音色が京都の空に広がっていった。

 右手をスッと伸ばしたMIYAVIが天を仰ぐ。僧侶の声が女性コーラスに変わり、本堂ではバチを手にした太鼓芸能集団「鼓童」が大太鼓を打ち鳴らし始めた。始まった「Holy Nights」ではピックを使わない、スラップ奏法と呼ばれる技法で周囲を圧倒していく。

 ギターがそのボディーに宿している魂を引き出すような演奏は、唯一無二のもの。清水の舞台に初めて響く激しい音に、錦雲渓に生い茂る木々がざわめいていく。うねる風が寺の上空を覆っていた雲を払い、顔を出した星が音に応えるように瞬き始めた。

「ハッ!」と気合いを入れた「What’s My Name?」では、左右にせり出した翼廊部分に飛び出したMIYAVI。ジャンベのような電子太鼓を手にした鼓童のメンバーと、向かい合い音で対話を重ねていく。

 ステージには同ライブを共同演出した芸人のコロッケ(61)も登場。リズムに合わせ手にした筆を走らせた。演奏後、向かっていた金の屏風には漆黒の墨で「MIYAVI」の名が記されていた。

次のページへ (2/4) 「祈ること、歌うことは僕にとって同じこと」 渾身の音に木々がざわめく
1 2 3 4
あなたの“気になる”を教えてください