俳優の佐藤健が20日、都内で行われた、主演映画「護られなかった者たちへ」（10月1日全国ロードショー、配給：松竹）の公開直前トークイベントに登場。阿部寛、林遣都、瀬々敬久監督も出席した。

　同作は、「このミステリーがすごい！」受賞作家・中山七里氏の傑作小説を実写映画化。東日本大震災から10年目の仙台で起きた不可解な連続殺人事件を軸に、その裏に隠された切なくも衝撃の真実を描くヒューマン・ミステリー。佐藤は、刑期を終え出所したばかりの利根泰久を演じた。

　司会者から、共演者のすごいところを聞かれた佐藤は、阿部について説明。劇中では、佐藤が演じる利根を刑事役の阿部と林が雨の中、全速力で追いかけるシーンなど、走るシーンが多かったが、「阿部さんはタフでいらっしゃいました。めちゃくちゃ走ったのに、阿部さんはピンとされていた」と驚いた。

　林も「歩幅が違う。僕の全力でもかなわなかった」と発言。そのことについて、阿部は「その後、半年苦しみました。足が変になってしまった。年を取ってくると後にくるんですよ」と笑わせた。

　一方、阿部は佐藤の名前を挙げ、「現場での佐藤くんの集中力は圧巻。利根という容疑者がそこにいるんじゃないかと。その集中力を見た時に、いろんなものを感じましたし、僕のこの役は非常にやりやすかった」と絶賛した。

　林も「健さんとお会いして、物語の中の登場人物が生身の姿で存在している。でも、利根なんですけど、『初めて見る佐藤健だ』と思いまして。他の人には感じたことがないオーラを感じた」と感激したことを明かした。2人から称賛の声を受けた佐藤は「大変光栄です」と照れ笑いした。

　また、「共演者に聞きたいこと」について、佐藤は「阿部さんってLINEとかされるんですか？」と尋ねた。阿部は「僕はね、しているんですよ。ニコニコのやつを使います」と告白。佐藤は「ずっと聞きたかったんで」と満足顔だった。

　さらに、一般の方から寄せられた「10年前と異なるところはありますか」という質問にも回答。佐藤は「根本的なことは変わってないですけど、余裕を持つことができました。10年前は今日生きることに精いっぱいで。今は俯瞰（ふかん）していろんなことを見れるようになりました。2年後、3年後ぐらいのことぐらいまでは、なんとなく見据えることができているかな」と語った。

　最後に佐藤は、「震災から10年がたちましたが、まだ世界にはさまざまな問題があって、さまざまな困難に苦しまれている方がたくさんいます。この映画には、自分たちの大切な人、自分たちの守りたい人を守りたい、守ることができる社会であってほしいという願いが込められています。受け取っていただけましたら幸いです」とメッセージを送った。

（C）2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会