――おふたりの思うクラシックの魅力とは?

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高橋「私は中学校は合唱部に所属していてほんの短い時間ですけど、クラシックを歌っていた時期があったんです。今回の番組もそうですが、作曲者にしても、演奏者にしても自分の内面をを最大限に緩急つけて繰り広げていく楽曲なのかなと思っていて、『メモリー』もクラシックの要素があるって聞いたんですけど、ポップスとは違う『流れ』みたいなものもあって、悲しみからいきなり希望へとその差を大きく表現できるのがクラシックなのかなって。それでより感動が倍になって伝わるという感じが私の中での印象ですね」

蔦谷「基本的に生演奏なので、昔からある楽器を使ってマイクを通さない。そこが一番の魅力じゃないですかね。ヴァイオリンとかトランペットもそうですが、体に密着させて人間が演奏して、そのダイナミックレンジの幅が歌と一緒で広いので、表現の幅も広いのかなって。その音がマイクを通さずに来るので、実はとてもライブな音楽だなって感じます。そこが魅力ですかね。僕はもともとクラシックを勉強してきたので弦アレンジとかホーンアレンジとか、ここの楽器はこの帯域が一番気持ち良いとか、何人で吹くんだったらこの音が良いとかそういうのって勉強しなきゃわからないので、なのでやっておいて良かったなと、演奏者の気持ちをある程度わからないと書けないところもあるし、ただワーグナーとかみたいに、『そんなの知らないよ』って平気で出ない音を書いて自分のために楽器を作らせるみたいな（笑）。そんな人間力みたいなものも作曲から見えたりして、演奏者のことを全然考えずに自分の想像こそが最高なんだみたいな、まるで70年代のロックミュージシャンの無茶苦茶な感じの人とか、クラシック界にはいっぱいいるんですね。そういう面白さっていうのもありますね。譜面から人間力がわかるっていう。僕はちゃんと作るタイプなんで、ワーグナーとか見ると「すっげーなー！」って思いますね。勉強になりますし、すごく応用として自分でも活用しているところはありますね。

――「キャッツ」が入り口の音楽ファンにお勧めのクラシックは?

蔦谷「プッチーニとかヴェルディとかオペラの感じはいいかもしれませんね。後は劇伴ぽいリヒャルトストラウスとかそういうのもいいんじゃないですかね。ワーグナーもいいと思います」

――蔦谷さんが刺激を受けたクラシックは?

蔦谷「ワーグナー、ベートーヴェンもそうですし、ほとんどの作曲家ですね。譜面を見ると圧倒的だなと思っちゃいますね。たまにちょっと直したい人もいるんですけど（笑）、でもモーツァルトとか見ると完璧なんですよ。『今週末パーティーがあるからじゃあ1週間で』って言われて交響曲を書いたりするじゃないですか。もうイカレてますよね。もちろん時代は違いますが、演奏者もすごいと思います。録音が古いけどフルトヴェングラーとかのベートーヴェンを初めて聞いたときは、中学ぐらいでしたけど、衝撃を受けましたね。良いとされているものは何らかの理由があって良いとされているので好みはあると思いますけど、初心者の方ならカラヤンからでも良いですし、何か手に取ってみるのは良いかもしれないですね。いま聞きやすい時代ですし」

――ではあらためて今回の番組の見どころを教えてください。

高橋「今日の収録は私自身とても勉強になりました。『キャッツ』は元々知っていたし、なんとなく世界観はキャッチしていたんですが、あらためてクラシックと『キャッツ』のつながりだとか、オペラに似た作り方をしているって学べたことはすごく自分の中では新しいアイデアとして思うことがいっぱいあったので、よりその目線で映画を楽しんで見れるのかなって。ひとつありますね」

蔦谷「子供の頃にキャッツを初めて見てロイドウェバーに衝撃を受けたので、その時は歌詞の意味はわからなかったんですけど。その衝撃は激しいロックを聴いて『うわー』っていうのじゃなくて、美しいメロディーとハーモニーに心が躍ったんですね。それを覚えていて、この特集をきっかけに僕と同じような衝動を感じて、ロイドウェバーに興味を持ってくれる人が1人でも増えたら良いなって思います。そういう気持ちで今日は演奏しました（笑）」

――高橋克典さんにお会いになった感想は

高橋「格好良かったです（笑）。すごくクラシックがお好きな方なんだなって、音楽が好きなんだなって。クールな方でしたね」

　Eテレ「ららら♪クラシック」　特集「ミュージカルの金字塔『キャッツ』～ロイド・ウェバーの魅力に迫る～」は、1月31日(金)午後9時～9時29分放送。