俳優の田中圭と女優の中谷美紀が主演を務める映画「総理の夫」（9月23日より新宿バルト9他で全国公開、配給：東映、日活）の完成披露試写会舞台あいさつが8日、都内で行われた。貫地谷しほり、工藤阿須加、松井愛莉、嶋田久作、片岡愛之助、岸部一徳、河合勇人監督も出席した。

　オープニングでは、ステージ上にスモークや火柱が立つ豪華な演出の中、田中が黒のロングドレスを着用した中谷をエスコートしながら赤絨毯（じゅうたん）の階段を降りた。

　同作は、原田マハの小説「総理の夫 First Gentleman」を実写映画化。妻が突然、日本の総理大臣になってしまった“鳥オタク”の男が、さまざまなトラブルに巻き込まれながらも、夫婦の絆を取り戻していく姿を描くヒューマンコメディー。田中は大財閥生まれの世間知らずなお坊ちゃんにして鳥オタクのファーストジェントルマンの男・相馬日和を演じた。

　田中はオファーを受けたときの心境を「中谷さんと夫婦役ということで緊張しました。ハラハラしました」と打ち明けると、すかさず中谷が「どういう意味ですか？」と顔色を変えた。田中は焦りながら「悪い意味ではないんですけど、全然そんなことはないんですけど怒られると思っていました……」と説明すると、中谷は「ほら、悪い意味じゃないですか」とツッコミを入れた。

　そんな田中について中谷は「田中圭さんが、役柄が脇が甘いんですね。でも、現場では頼もしくて、まるで優秀な助監督さんのようだった。出番を忘れてしまうんですけど、耳元でこっそり教えてくれて、頼りにしてました」と現場での田中の振る舞いを絶賛していた。

　また、田中は河合監督に後悔していることがあるそうで、「監督ができれば忘れていたらうれしいんですけど」と前置きをし、「衣装合わせのときに監督に『台本を読んでどうですか？』と聞かれて。僕はやりがいや、うれしさがあってなんですけど『何もしない主人公でうれしいっす』って言っちゃったんですよ。それがやる気ないふうに捉えられているんじゃないかなって。監督、覚えています？」と伝えると、河合監督は「覚えています。やる気のないようには思いませんでした」と優しい口調で答えた。河合監督の言葉にホッとした田中は「面白いと“俳優・田中圭”として出してしまいたくなる。何もしないと何もしないでお芝居ができているのか不安になる。『お前は一回寝てろ』と言って、“俳優・田中圭”をなるべく封じ込めて、なるべく日和をニュートラルに入れるように心がけた」と理由を説明した。

　最後に中谷は「皆さまを必ず笑顔にしてお帰しすることを誓います。総理の夫、相馬政権に清き一票を頂戴できますよう心よりお願い申し上げます」と演説のような口調で話すと、会場は拍手喝采となった。一方、田中は「たくさん笑ってもらってホッコリしてもらって。心動かされてちょっと泣いて、最後には前向きになれるような、全体的にかわいらしいすてきな2時間を皆さんに共有できる映画になったと思います」と伝え、「次に鳥類研究所の役をやるときがあれば、インコに嫌われないような役作りをしていきたい」と笑顔で話し、会場は笑いに包まれた。

（C）2021「総理の夫」製作委員会