吉本ばなな氏、映画会見に“異例”の原作者登壇 主演女優を絶賛で「還暦前のご褒美」と感激

小松菜奈主演の映画「ムーンライト・シャドウ」(エドモンド・ヨウ監督)完成報告イベントが1日、東京・西新宿の京王プラザホテルで行われ、小松、宮沢氷魚、佐藤緋美、中原ナナ、原作の作家・吉本ばなな氏が登壇した。

作家の吉本ばなな氏【写真:ENCOUNT編集部】
作家の吉本ばなな氏【写真:ENCOUNT編集部】

映画「ムーンライト・シャドウ」 エドモンド監督はリモート出演

 小松菜奈主演の映画「ムーンライト・シャドウ」(エドモンド・ヨウ監督)完成報告イベントが1日、東京・西新宿の京王プラザホテルで行われ、小松、宮沢氷魚、佐藤緋美、中原ナナ、原作の作家・吉本ばなな氏が登壇した。

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 同作は、吉本氏の世界30か国以上に翻訳されたベストセラー「キッチン」(1988年刊行)収録の短編小説が原作。愛する人(宮沢)を亡くしたさつき(小松)が、満月の夜の終わりに死者と再会できるという「月影現象」を通して、悲しみを乗り越えようとする姿を描くラブストーリー。

 映画の完成会見に、原作者が登壇するのは異例のこと。吉本氏は「まさか監督がこの場にいないとは。1人くらい大人がいないといけないと思ってやってきました。昔のことで、何を書いたのかも覚えていないのですが、本当にすてきな映画ができて、還暦前のご褒美をもらったよう。心から感謝しています」と映画を絶賛した。

 これが長編映画では単独初主演となる小松は「昨年12月、肌に突き刺さる寒さの中、役を演じてきましたが、やっと公開できる。肺に入る空気さえ冷たく、孤独な時間もあったので、みんなと再会できる喜びを感じています。この場にエドモンド監督はいませんが、監督の思いを届けたいです」と話した。

 司会者から「小松の演技はどうだったか」と水を向けられると、吉本氏は「小説というのは頭の中の思いだけを書くもの。(映画を見て)肉体が肉体を失ったんだなと伝わってきて、自分はこういう感じのものが書きたかったのかと思い出しました」。その言葉にホッとした表情を浮かべた小松は「安心しました。初めて原作の方と試写を見て、緊張感で押しつぶされそうでした。ばななさんが喜んでくれることが幸せです」と笑みを浮かべた。

 イベントでは、マレーシア在住のエドモンド監督がサプライズでリモート出演。早稲田大留学経験もある親日派の監督は「原作は22歳のころに読みました。吉本さんも22歳のころに書いたと聞いているので、親しみを持ちました。日本文学に深く親しんできたので、尊敬する先生の作品を映画化できたことが光栄です」と話した。

 吉本は終始、映画を“べた褒め”。「(監督の映画は)夢のような映像というのがぴったりで、この人なら任せてもいいと思った。夢のような物語で一体、何を見たのだろうと思いますが、また見たいなと思える。私のように味わってほしい」とアピール。監督が「マレーシアでは(コロナ禍で)映画館もやっていないし、外になかなか出られない。映画館で映画を見られるのは幸せのこと」と話すと、小松も「コロナで失ったものは大きい。時間、対面できないこと。自分たちが何をできるのか考えたいですし、私自身、この映画に背中を押された」と話していた。

「ムーンライト・シャドウ」は9月10日、全国公開。

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