葉加瀬太郎独白、究極の「情熱大陸」誕生秘話…当時の演奏はヘタクソだった
サンタナをオマージュした新しい「情熱大陸」
アルバム1曲目に収められている葉加瀬の代名詞「情熱大陸」は、これまで数多くのアレンジをリリースしてきたが、今作はイントロからまさに激しく燃え上がるような感情が込み上げてくる。
「情熱大陸といえばこれ! という皆さんが一番初めに思い浮かべるアレンジにしたかったんです。それで昨年の全国ツアーでの演奏を元に、サンタナ(※)のライブバージョンをオマージュしたイントロ8小節のパーカッション、20年前のオリジナルに入っていた世界中のさまざまな場所の音やそこで暮らす人々の音を倉庫から引っ張り出してきて作りました。何より重要なのは、新しく加わったメンバーと、30年来一緒にやってきたメンバーの奇跡の融合。これが全部音になったんです。特に情熱大陸は、レコーディング初日に『もうこれ以上、新たに作る気はないから。みんなでマスターピースにしよう!』って張り切って録音しましたから。そういうみんなの気合いが全曲にわたって入っている気がします」
(※)ギタリストのカルロス・サンタナ率いるラテン・ロック・バンド。1969年デビュー。99年グラミー賞史上最多の9部門受賞。
そんな自信作を携えて、現メンバーで2回目となる全国ツアー「葉加瀬太郎 コンサートツアー2021『SONGBOOK』」が9月11日から始まる。昨年以上に、その日その会場でしか味わえない特別なステージに期待が膨らむ。
「僕らもそうありたいと思っています。何よりバンドメンバーたちが本当に手強くてね。ジャズとまでは言わないけれど、わざと毎回演奏を変えてきますから。ツアーというのは毎日同じメンバーで2時間くらいやるわけで同じことをやっていたら飽きてくる。たとえ昨日うまくいったからといって、もういっぺんそれをやろうという精神では、どんどんつまらなくなっていくんです。気持ちが変わると音楽も変わりますし、MCやトークのスタイルも去年から変えているんです」
エンターテイナーとして葉加瀬の目指すステージは演奏と同じくらいMCも重要な要素であり、毎回真剣勝負だ。そんなMCにも大きな変化が起こった。
「これまでのMCのお手本は、ザ・ドリフターズさんでした。ちゃんと話しができてユーモアがあって、オチもある。こういう音楽とセットになっている笑いが好きで、約20年くらい自分でしっかりと台本を書いて一字一句間違わないように全部覚えて、しゃべっていくというのを1つのスタイルとしてきたんです。
ところが昨年から演奏スタイルが変わって、それに合わせてトークも変えるようにしています。その日によってはバンドメンバーを笑わせる時間にしたり。その瞬間何が起こるか分からないワクワクさ。そこに行ってみたいなっていう願望があります。まったく足元にも及びませんが、とんねるずさんやダウンタウンさんのようなトークを目指しています。トークは一番の僕の課題ですから。越えなきゃいけない峠がえらい険しいんですよ(笑)」
□葉加瀬太郎(はかせ たろう)1968年1月23日大阪府生まれ。バイオリニスト。90年「KRYZLER & KOMPANY」のバイオリニストとしてデビュー。セリーヌ・ディオンとの共演で世界的存在となる。96年「KRYZLER & KOMPANY」解散後ソロ活動開始。2002年、自身が音楽総監督を務めるレーベル“HATS”を設立。07年秋、原点回帰をテーマにロンドンへ拠点を移す。デビュー25周年の節目の年となる15年春に「KRYZLER & KOMPANY」を再結成。25周年記念アルバム「DELUXE~Best Duets~」が第30回日本ゴールドディスク大賞インストゥルメンタル アルバム オブ ザ イヤーに輝いた。ソロデビュー20周年にリリースしたフルオリジナルアルバム「JOY OF LIFE」が第58回日本レコード大賞優秀アルバム賞を受賞。17年アルバム「VIOLINISM Ⅲ」が第32回日本ゴールドディスク大賞 クラシックアルバム オブ ザ イヤー を受賞。18年、生誕50周年記念のベストアルバム「ALL TIME BEST」リリースし、第33回日本ゴールドディスク大賞 クラシックアルバムオブザイヤー を受賞。デビュー30周年を迎える20年3月、パラスポーツ・バリアフリー推進応援ソング「Legacy」を含む全曲豪華オーケストラアレンジで収録した「The Symphonic Sessions」を発売。21年8月18日アルバム「SONGBOOK」をリリース。9月11日千葉・松戸を皮切りに全国ツアー「葉加瀬太郎コンサートツアー2021~SONGBOOK~」(東京・大阪の追加公演を含む38会場43公演)を開催。
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