叡王戦第4局は豊島2冠快勝! 真田圭一八段解説「中盤戦で藤井2冠ははっきり悪く」
藤井2冠に勝つにはこれしかない、というような展開に
藤井将棋において、中盤戦ではっきり悪くなること自体珍しいのだが、それでもあっさり土俵を割ったりはしない。逆転の隙をうかがう中、第2のポイントは73手目▲2四歩だ。この手はプロであっても、パッと局面を見てすぐに浮かぶ手ではない。読みに読んでたどり着く手だ。意味としては、将来藤井玉が右辺に逃げてきた時に玉を狭くしようという手。仮に素直に△同歩と応じたならば、▲8三角成から殺到して終盤一手勝ちを狙うつもりだったのだろう。
実に50分を投じての読みの入った一着だった。その50分間、藤井2冠もいろいろ読んで、逆転、つまり豊島2冠が悪手を指さない限り勝ち目がないことを悟ったのだろう。豊島2冠の長考の末の▲2四歩を見て、ただただ粘ることはせず、潔く形を作って投了した。
本局は豊島2冠の快勝だった。一番難しい、藤井2冠相手に序中盤での作戦勝ち。そこからの的確な攻めと、終盤に向けて一手勝ちを目論む正確な読み。藤井2冠に勝つにはこれしかない、というような展開を見事に作りあげた。
これで叡王戦は2勝2敗。フルセットで次戦に勝った方が叡王となる。大注目の一戦となることは間違いなく、ファンの方ともども、私も楽しみに待ちたいと思う。