叡王戦第4局は豊島2冠快勝! 真田圭一八段解説「中盤戦で藤井2冠ははっきり悪く」

豊島将之叡王(竜王=31)に藤井聡太2冠(王位、棋聖=19)が挑戦する第6期叡王戦五番勝負第4局が8月22日、「名古屋東急ホテル」(名古屋市)で行われ、先手の豊島2冠が91手で勝ち、2勝2敗とした。史上最年少の3冠達成がかかった藤井2冠と、叡王防衛のためには一歩も譲れない豊島2冠が大熱戦を繰り広げた第4局を振り返る。

藤井聡太2冠【写真:ENCOUNT編集部】
藤井聡太2冠【写真:ENCOUNT編集部】

先手有利の「先後同型」に…何か誤算が?

 豊島将之叡王(竜王=31)に藤井聡太2冠(王位、棋聖=19)が挑戦する第6期叡王戦五番勝負第4局が8月22日、「名古屋東急ホテル」(名古屋市)で行われ、先手の豊島2冠が91手で勝ち、2勝2敗とした。史上最年少の3冠達成がかかった藤井2冠と、叡王防衛のためには一歩も譲れない豊島2冠が大熱戦を繰り広げた第4局を振り返る。

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 藤井2冠が豊島叡王に挑戦する叡王戦第4局、勝てば叡王奪取という一戦だ。先だって行われた王位戦から中2日での両者の対戦、7月からタイトル戦だけで7度目の対戦だ。これだけ短期間で同じ相手と顔を合わせるとなると、「恋人より一緒にいる時間が長い」というジョークも出る状況だ。

 本局は3日前に行われた王位戦と同じく、先手豊島で戦型は相掛かり。ただ、相掛かりは序盤からお互い自由度が高く、本局も前例や研究が活きにくい展開となった。そんな中、藤井2冠にとってのポイントは36手目△5二玉にあったと思う。

 実はこの局面、「先後同型」と呼ばれる先手と後手が全く同じ形をしている局面なのだ。相居飛車系の将棋では、これまでもさまざまな先後同型が出現している。そしてその多くにおいて、先手有利の見解が出されている。

 理由は明快で、先に相手玉を詰ませば勝ちというルールにおいては、同型なら先に指せる側が1手分リードできる。行き着く先は、先に王手を掛けて、先に詰ますことができるというわけだ。もちろん、実戦においてはそんなに単純ではないが、理論上は間違いないことであり、後手にとって水面下で1手分の遅れを主因に捨てざるを得ない変化が多くなってくる。

 藤井2冠がこの理屈に気づいていないはずがない。だが、分かっていながら同型で出番を渡す△5二玉を指したということは、そこに至る序盤の駆け引きで何か誤算があったのかも知れない。その後、仕掛けてからの豊島2冠の指し回しは正確そのもの。桂香得という実利を得て、形勢ははっきり豊島良しに。

次のページへ (2/2) 藤井2冠に勝つにはこれしかない、というような展開に
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