熊本旅館破壊事件の真相 泥酔していない船木誠勝と元猪木番記者が語った新事実

船木誠勝はリモートで参加。イベントは大いに盛り上がった【写真:ENCOUNT編集部】
船木誠勝はリモートで参加。イベントは大いに盛り上がった【写真:ENCOUNT編集部】

「俺が相手してやる」 坂口征二VS前田日明の番外マッチ

 この前田の行動には前触れがあったと語られた。

 船木は「最初のきっかけが、前田さんが『武藤、オマエ、海外から帰ってきたからっていい気になってるんじゃねぞ』って言った。それで荒川さんが武藤さんをけしかけた」。一方の吉武氏は「その前に一気飲みがあった。坂口さんが武藤のジョッキの中身を水にしていた。それで前田が怒った」。ちょうど開始から1時間が過ぎたあたり。胃袋も満たされ、徐々にくだけた雰囲気になっていた。このあたりは、諸説入り乱れているが、突然の馬乗り殴打に宴席は凍り付いたという。

 ブチ切れた前田を止めようと、すぐに周囲のレスラーが止めに入った。船木もその1人だった。

「ボクは止めました。飯塚(高史)もいた。それでも前田さんはいこうとする。そこへ星野(勘太郎)さんが通りかかった。『大変です。なんとかしてください!』と言ったんですけど、星野さんはそのまま通り過ぎた。その後、藤原さんに助けてくださいって言ったんです」

 藤原の行動は素早かった。

「いきなり前田さんの顔面をサンドバッグを殴るようにボコボコにして。前田さんは藤原さんに殴られると抵抗しない。目をつぶってパンチを受けていました」

 その場はなんとか鎮まったが、すでに大半のレスラーに酒が回っていた宴会は修羅場と化していく。

 普段は冷静な坂口もこの日は違った。「『前田、オマエ、来い!』と言って、なぜか寝転んだ。俺が相手してやるって」(船木)。前田は酔っていたとはいえ、偉大な先輩相手に臆するところはなかったという。

「前田さんは1発2発、ストンピング入れてますね。本気です」

 吉武氏もその場面を記憶している。

「ガシャンガシャンすごい音が聞こえ出した。坂口征二が机をひっくり返しながら進んで、『どこでもいいから(関節を)取ってみぃ』と言った。前田はストンピングもしましたし、手鼻チンをかけたり、つばかけたり、めちゃくちゃなことをしていた。坂口征二は寝転がっていただけ。前田の手鼻、つばを浴びていた。ストンピングじゃなく普通に蹴っていたと思います。蹴っていたのはたぶん、当たっていない」

 船木は「自分と武藤さんは坂口さんに首根っこをつかまれて風呂場に投げつけられました。それで武藤さんと顔を合わせて笑った記憶あるんですよ」。194センチの長身と怪力を誇った坂口はプロレス入り前、柔道日本一を決める全日本選手権を制した実力者。「すごいグァーと連れていかれた」とすさまじい力を目の当たりにして船木は驚がくした。

次のページへ (3/4) 日本刀を持って大暴れしていた後藤達俊
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