有森也実が「潮時」と思った女優人生の危機 37年間所属した事務所退所の理由を告白
「去年の状況では、発展するものを私の中では感じられませんでした」
遅すぎる親離れとも話したが、もう少し立ち入って聞いてみた。
「去年の状況では、発展するものを私の中では感じられませんでした。ずっと事務所というビニールハウスのような物に安全に安心して仕事ができるように守ってもらいました。すくすく育ち、きれいな花を咲かせることもあり、良かったけれど、ちゃんと世の中を見たいと思ったんです。女優として独り立ちしてやっていきたいと。芸能界という社会の中で学ぶべきものは学んできたと思っていますが、ちゃんと自分の目で見てみたいという気持ちが強くなったということです」
フリーになって1年で感じたことや今後、挑戦したいことは。
「今までつながってきた方たちに、とても大事にされているなとすごく感じます。事務所所属時代にできたものがつながっているというのは、うれしいこと。あとは、自分の考えとか思いを形にできるようにしたいと思っています。女優という仕事は身体表現ですが、プロとか素人とかのカテゴリーを取り払い、熱量のある仲間が集って作るものを発信したいです。体を動かす面白さ、表現とは何かというようなことをやりたいですね」
それぞれ事情は異なるだろうが、最近は所属事務所を離れてフリーとなる芸能人が目立つ。この流れをどう感じているのだろうか。
「もしかしたらピュアな物、本当のことを知りたいのかもしれません。芸能の仕事に限らず、すべてにおいて。たとえばオリンピックでは多くの人がスポーツの力を感じることができました。それは本当のこと。そういう本当のこと、純粋な物を感じたいのかも」
守られた環境下ではなく、自身を磨き、力をつけて何かを成し遂げたい思いは理解できる。最後にあらためて将来を聞くと「死ぬまで女優を」、結婚には「ご縁があれば、もらっていただけるものなら、拒みはしません」と笑った。肝の据わった骨太の女優と感じた。