俳優の佐藤健が15日、都内で行われた主演映画「護られなかった者たちへ」（10月1日全国ロードショー）の完成披露試写会に登場。阿部寛、清原果耶、緒形直人、吉岡秀隆、倍賞美津子、瀬々敬久監督も出席した。

　同作は東日本大震災から10年目の仙台で起きた不可解な連続殺人事件を軸に、その裏に隠された切なくも衝撃の真実を描くヒューマン・ミステリー。佐藤は、刑期を終え出所したばかりの利根泰久を演じた。

　原作を読んだときの感想について「さまざまなことを教えられ、考えさせられました。今の日本に投げかける意義のある作品になっていると思います。受け取っていただけたら幸いです」と真っすぐな目で伝えた。

　11年ぶりの共演となった阿部について「阿部さんは阿部さんですね。11年前に初めてお会いしたときから阿部さんでした」と話し、続けて「僕は、『トリック』というドラマが本当に好きすぎて、それがきっかけで役者になりたいと思ったぐらいの作品」と役者を志した理由を明かした。

　そして、「トリック」で阿部との共演がかなった当時を振り返り、「堤監督に直談判して、初めて阿部さんとご一緒して、僕の目の前で阿部さんが演じている姿は今でも鮮明に覚えていて、それぐらい僕にとってはかけがえのない時間」と語り、「今回この作品でさらに深まった役柄でご一緒することができて、非常にうれしいです」と目を輝かせた。

　一方、阿部は佐藤の活躍する姿をテレビや映画を通じて見ていたそうで、「この現場に入ったときに集中力というか、責任というものがすごくあった。僕は刑事の役なので、佐藤さんが演じる利根という人物を見ながら役作りをしようと思って、すべて佐藤さんにゆだねていました。非常に集中力があって素晴らしい役者さん」と絶賛すると、佐藤は照れ笑いを浮かべた。

　最後に佐藤は「僕がこの完成した映画を見たときに一番胸に残ったことは、誰かが誰かに生きていてほしいと思う気持ち。その気持ちに一番、僕は心を打たれました。大切な人がいるっていうことを、そんな日常の幸せに感謝し、幸せをかみしめながらと同時に、みんなでより良い国、より良い生活を目指して、そのためにどうするべきか共に考えながら、そんなことを思うきっかけとなる映画になっています。たくさんの方に見ていただきたいと思っております。皆様のお力をお貸しいただければ非常にうれしいです」と呼びかけた。

（C）2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会