暑い日本の夏に大変なペイントレスラー、ベトベトになる上に肌荒れが大変【連載vol.54】

ペイントは儀式? 意外にも深くつながっていたプロレスラーと化粧

 歌舞伎役者は毎日、白塗りをする。ドーランは厚塗りで、ライトを浴び、汗をかいても崩れない強固なもの。首や手にまで塗ることもあるそうだから、お肌への負担は大変なものだろう。

 肌荒れ対策だろうか、歌舞伎役者の間で、アボカドがはやったことがあるそうだ。市川海老蔵が特に好んで食べていると聞いたことがある。東京オリンピック・スケートボード男子ストリートで、金メダルに輝いた堀米雄斗選手が、パワーの源とテレビ番組で紹介していたのが「アボカドご飯」。ビタミンなどの栄養も豊富なアボカドは夏バテ防止にもお勧めで「森のバター」と言われるほど、美肌効果も抜群なのだとか。沼澤は「え、そうなの。試してみようかな。髪にも効くのかな。生えてこないかな?」と興味津々。いや、残念ながら髪への効果は……。

 化粧は「化けて装う」という意味がある。化粧を「ペイント」と称する人もいる。確かに、ペイントは人格をも変える。普段は優しくて温和な沼澤がペイントをすると、途端に狂気を帯びる。古来、化粧はおしゃれというよりも儀式的な役割を担ってきており、ペイントは闘う儀式なのかもしれない。

 友人の文化人類学者に聞いたところ「化粧とは主に顔に色彩、光沢をほどこすことだが、広義にはボディーペイントなどの身体装飾、抜け歯や入れ墨などの身体変工を含めた装身行為をさす。魔除け、祈祷、呪術的な意味もあり、古くは闘いの武装としても用いられた」そうだ。

「プロレスラーと化粧」。意外にも、深くつながっていた。

次のページへ (3/3) 【写真】ペイントした沼澤だが肌荒れには苦労
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