体育でのマスク着用は「保護者の判断が最優先」 コロナと熱中症の板挟みに悩む教員の本音
中学では部活動の活動維持が困難に 高校では進路選択に影響も
東北地方のある中学校教諭は、部活動の保護者対応に頭を抱えている。
「中総体は規模を縮小して実施することになり、テニス部では1校から出られる組数が制限されています。他の団体競技のレギュラーと同じように、うまい子から順に出場させるという方針で決まったんですが、出場できない子の親が猛クレームを入れてきて……。対応した校長が『出します』なんて安請け合いしたものだから、今度は親たちから『不公平だ』の大合唱ですよ」
同校では部活動は原則全員加入の立場を取るが、同教諭は「このご時世、もう全員入部ははやらない」とも漏らす。
「コロナで入学直後の部活動紹介もできず、新入生がどんな活動をしているか知る方法もありません。ある団体競技では生徒から陽性者が出て、出場停止に。いくらきれいごとを言っても、『あいつのせいで最後の大会に出られなかった』というわだかまりはなくなりませんし、もう部活動で協調性が身につくという時代ではないかもしれません」(同教諭)
進路指導にもさまざまな影響が出ている。東海地方のある定時制高校教諭は、コロナ禍で地元志向が高まっていると話す。
「うちは進学も就職もいますが、リモート授業が長引いていることもあり、特に関東の大学は敬遠されていますね。1クラス25人のうち、20人近くが何らかのバイトをしていますが、飲食ではなかなかシフトを入れてもらえないということも聞く。仮に一人暮らしを始めて生活費が稼げないとなると死活問題。卒業後も経済的な事情から実家を離れられないというケースは以前と比べて増えています」
子どもたちの心や体にも影響を及ぼしているコロナ禍。一刻も早い収束を願うばかりだ。