何が起こった? 藤井2冠対豊島2冠の叡王戦第2局は豊島2冠大逆転 真田圭一八段解説

真田圭一八段
真田圭一八段

追い詰められてからの豊島2冠にすごみ

 だが、本局はここからの豊島2冠の追い込みがすごかった。一見すると藤井陣は手付かずで、また豊島2冠の側は歩を使える筋がない。どうやって攻めるかを見ていたら、なんと91手目▲5四銀と歩頭に銀をたたき込んだ。これがいわゆる「人間の手」というやつで、指された側は無理筋と思いつつも、同時に相手の「気迫」というものをひしひしと感じたに違いない。

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 それでも藤井2冠は冷静さを失ってはいなかった。96手目△5三銀、116手目△7八とと指した辺りは、秒読みの中でも勝利への道筋を見据えた指し回しだ。

 だが、本局の豊島2冠の、追い詰められてからの胆力はすごみがあった。たくさん駒を渡して、133手目▲4三歩成と開き直る。「詰ましてみろ」という手だ。不利な側が逆転するにはこうするしかない、という指し方だが、相手は言わずと知れた詰め将棋の名手、藤井2冠。134手目△1六飛、続いて136手目△2六飛打と飛車が2枚横に並んだ形は迫力満点で、詰んでいても全然おかしくなかった。

 だが、結果として豊島玉は詰まなかった。こういう場合、プロの世界では「詰まないようにできていた」と言ったりする。つまり、追い込んだ豊島2冠の方に、運が残っていたのだ。

 人間同士の勝負として、本局は名局と言っていいと思う。このままズルズル負けるわけにはいかない、という豊島2冠の念が盤上に表現された。そして、相手の気迫に押されながらも、ギリギリ詰むや詰まざるやの局面を作りあげた藤井2冠の強さもよく出た。

 叡王戦は1勝1敗で振り出しに戻ったが、これからも両者には、技術の高さと人間ならではの気持ちの入った戦いを期待したい。

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