何が起こった? 藤井2冠対豊島2冠の叡王戦第2局は豊島2冠大逆転 真田圭一八段解説
豊島将之叡王(竜王=31)に藤井聡太2冠(王位、棋聖=19)が挑戦する第6期叡王戦五番勝負第2局が3日、「常磐ホテル」(山梨県甲府市)で行われ、先手の豊島叡王が161手で勝ち、1勝1敗と並んだ。追い込まれたかと思われた最終盤、大逆転となった叡王戦第2局を振り返る。
中盤には藤井2冠がさすがの手を放つ
豊島将之叡王(竜王=31)に藤井聡太2冠(王位、棋聖=19)が挑戦する第6期叡王戦五番勝負第2局が3日、「常磐ホテル」(山梨県甲府市)で行われ、先手の豊島叡王が161手で勝ち、1勝1敗と並んだ。追い込まれたかと思われた最終盤、大逆転となった叡王戦第2局を振り返る。
藤井2冠の先勝で迎えた第2局。五番勝負なので3勝すればタイトル獲得となるので、もしここで藤井2冠が勝てば、たちまち王手がかかり、藤井2冠が圧倒的優位に立てるという一戦だ。苦手と言われた豊島2冠に対しても、直近で3連勝中。今の流れがそのまま反映されるのか、それとも豊島2冠が踏みとどまれるのか。そんな状況での一戦となった。
まず、序盤は豊島2冠の先手で角換わり相早繰り銀に。この戦型は、昔は激しい戦いになる展開が主だったが、今は違う。歩交換だけしておく、端歩を突いて手を渡す。そんな間合いを計る手がよく出てくる。焦点が分かりにくくなるケースも多く、乱戦、力戦に自信を持っている豊島2冠好みの戦型なのだろう。これまでの対藤井戦でも、中盤までうまく指し回している対局がある。
一方、藤井2冠も対策を用意していた。4筋の歩を伸ばす意欲的な指し回し。難解な中盤となった。その中で先手▲8三角、後手△5四角と角を打ち合ったが、その後、豊島2冠に誤算があったか。盤上の馬が消されてしまい、形勢が一気に藤井2冠に傾く。72手目、△9六歩と戦場から最も遠いところの歩を突いた局面は、いかにも才能を感じさせる手で、このまま藤井快勝で終わっていれば一番目立つ手となったことは間違いない。