【電波生活】テレ東“声かけ”ロケ番組 コロナ禍で一時は放送休止危機、乗り越えたアイデア力
テレビやラジオなどの注目番組の魅力や舞台裏を探る企画。今回はテレビ東京系「家、ついて行ってイイですか?」(水曜午後9時)。街で終電を逃した人などに声をかけ、自宅について行き、家やその人の人生ドラマを紹介してもらう人気番組だ。新型コロナウイルス禍で番組制作に大きな変化があったようだ。演出の古東風太郎氏に話を聞いた。
「家、ついて行ってイイですか?」 テレビ東京の演出・古東風太郎氏が語る番組の魅力と舞台裏
テレビやラジオなどの注目番組の魅力や舞台裏を探る企画。今回はテレビ東京系「家、ついて行ってイイですか?」(水曜午後9時)。街で終電を逃した人などに声をかけ、自宅について行き、家やその人の人生ドラマを紹介してもらう人気番組だ。新型コロナウイルス禍で番組制作に大きな変化があったようだ。演出の古東風太郎氏に話を聞いた。(取材・文=中野由喜)
「コロナ禍以前は深夜の駅を徘徊(はいかい)することが多いロケでしたが、大衆の中に入り込んで、不特定多数の方にお声がけすることがご時世的によくなく、新型コロナウイルス感染対策の意味でも、そのロケの方法は止めようということになりました」
昨年春ごろの話。まさに一時は番組の存続危機だった。
「何とか新しい映像を撮り続けられないかと、人と接触せずにロケをする方法を探し、いろいろと試しました。継続的に続けられる方法として考えたのが、無人の定点カメラ。昨年春ごろからスーパーの入り口に遠隔操作できるカメラを設置し、カメラに向かって話しかけてくれた人に限りお声がけさせていただくスタイルにしました」
他にも、さすがテレビ東京と思わせるアイデアもあった。
「企画として頓挫しましたが、許可を取れる場所でひたすらドローンを飛ばして興味をもってくれた人に話しかけ、そのまま帰り道や家の中まで全てドローンによって遠隔で撮り切ってしまおうとする方法。でも、想像以上にバッテリーの持ちがよくなかったし、家の中まで電波が届かず、玄関のドアが閉じた途端にドローンが落下するトラブルもありました。プロデューサーの家で試しました」
涙ぐましい努力を感じる。当時の背景にはコロナ禍、人に話しかけない、家に上がらない、など同局には細かいコロナ対策ガイドラインがあったようだ。
「当時はこの番組、もしかして放送休止になってしまうのではと思いました。コロナ禍の影響は他にもあります。今まではカメラ1台でのロケが、遠隔操作の機材(三脚、マイク、PC、スマホなど)も使うようになり、一回一回のロケの費用がかさむこと。もう1つは取材を受けて下さる方のマスク着用により、微妙な感情の揺れや表情からにじみ出る言葉にならないメッセージを表現しにくいこと。これまで以上にちゃんと言葉にしてもらう取材が大事になりました。わざわざ言葉にしてもらわなくても思いは視聴者に伝わるはずだ、という甘い考えは一時的に捨てています。取材対象者との距離を取りながらも、より踏み込んだ取材をすることが求められているように感じます」