【欧州車紀行・北仏8】フランスの歴史と芸術、食を堪能 オマールエビなど魚介に舌鼓!
オンフルールでのランチは魚介を豪快にいただく
20分くらい、畑から畑へと走る。ナビが指示しているルートが間違っているのではないか、と不安になったのだが、しばらくして一気に視界が開けたではないか。坂道の木立の向こうに街並みと海が見えている。
「ここ、一度見た気がする!」
急な坂道をゆっくり下ると、すぐ旧市街になっていて、やはり道幅は車1台分しかない。ゆっくり走る。ナビが示す方向に運転すると通行止めでその先に人波ができている。
「マルシェ(市場)みたいね。今日は土曜日だから」
「まいったね。後ろから車が来ていて、駐車することもできない」
仕方なく、左に迂回(うかい)して街に近づく方法を考えた。ナビは迷子になっている。まだ海岸線までは降りていないので、海沿いに出る道を探すと、ナビが機能し始めた。頑張れ!
「このままホテルの場所だけ確認して、移動しようか」
「エトルタに行きたいわ」
ホテルに荷物を置いてから夕方までの行き先を確認する予定だったので、ディレクションは設定できていない。とりあえず、ホテル近くで車を止めることができる場所で、行き先を検討する。
「エトルタはモネや画家のウジェーヌ・ブーダンが描いた街なの。2つの断崖も有名だわ。ドーヴァー(イギリス)に行ったときも見たじゃない、断崖絶壁を。あれと同じ。2つの絶壁の間に長い砂浜が続いている」
「でもさ、40キロか50キロくらい離れているよ。遠すぎないか。もう午後2時近いよ」
往復したら100キロ近いドライブになってしまう。
「そうね。戻ってきたら午後7時過ぎるかも」
ガイドブックでは隣接しているエリアとして紹介されているので、簡単に行けそうだという、よくある錯覚に陥っている。MAPを見ていたゆっちゃんは「それならドーヴィルが近いから、行ってみない? ここから15キロくらいだって。時間にして30分前後」
カジノや競馬場で有名なドーヴィル行きがこうして決まった。
その前にランチだ。避暑地として観光客であふれるオンフルールの午後は遅い。港周辺にはレストランが軒を連ね、まだにぎわっている。有料駐車場に車を止めて港の正面にあるレストランエリアの一軒に入ると、店内では豪勢に盛り付けたカキやムール貝などの魚介類を白ワインでにぎやかに食べている。僕はタイのグリルとシュウェップス(炭酸水)。ゆっちゃんはオマールエビ(ロブスター)のグリルと白ワイン。
「オンフルールは日本でいえば、江の島みたいなところかしら」
「北なのに、こんなに日差しが強い。もっとどんよりと曇っていると思っていたのに」
ランチは短時間ですませて、ドーヴィルを目指した。