それ、「5分100円」でやります なんでも屋「御用聞き」の事業継続の秘密

有償ボランティア「担い手」220人以上を抱えるまでに成長した【提供:御用聞き】
有償ボランティア「担い手」220人以上を抱えるまでに成長した【提供:御用聞き】

「5分100円」でも事業を持続させる秘密は「掛け算」

 御用聞きは徐々にサービスを拡大し、コロナ禍でも過去最多となるお手伝い件数を記録。今では東京23区、多摩地区の一部、埼玉、神奈川、愛知の一部に提供エリアを拡張、「担い手」と呼ばれる有償ボランティアとして220人を超える大学生を抱えるまでに成長したが、「5分100円」という価格でどうやって利益を出しているのだろうか。ここにも古市さんの試行錯誤があった。

「最初は前掛けに広告を付けようとしたのですが、思うようにいかなかった。次に上場企業さんのCSR(企業の社会的責任)予算で活動の“軍資金”を作っていたのですが、次第にコンサル業にメインになってしまい、『100円家事代行』をやる時間がなくなってしまった。これは無理だなとなったんです」(古市さん)

 そこで、広告から収入を得る考えを一度捨て、「利用者さんの本当にほしい部分で利益がとれる商品を作ろう」と、「100円家事代行」の上位サービスである「たすかるサービス」を運用開始。これが反響を呼んだ。「『100円家事代行』と、利益がとれる『たすかるサービス』の掛け算で、私たちは持続的に活動できるモデルを作ることができました」と古市さん。利用者のニーズを見極めた収益モデルが安価でのサービス提供を実現させているのだ。

 地域の人に愛され、支持されている御用聞き。「Mission 2025 第5のインフラを日本で作る」を掲げ、電気・ガス・水道・通信に続く第5のインフラとして御用聞きのサービスを定着させることを目指しているそうだ。この目標まで、現状の達成度は「20~25%」だと言う。

短時間・低価格の「御用聞き」が作り上げたビジネスモデル
短時間・低価格の「御用聞き」が作り上げたビジネスモデル

 それでも、見通しは明るい。「パレードの法則という、20%の解決方法が80%のバリューを生み出すというような法則があります。コアな部分はほぼ完成したと思っているので、手を抜くことなく慎重に精進していけば、2025年までの残り80%は射程圏内に入ってきたと思います」と古市さんは言う。

 この目標を達成するために、『会話で世の中を豊かにする』という御用聞きのビジョンと徹底的に向き合うことを重視しているという。古市さんは「私は今年42歳ですが、小さい頃、コンビニやファストフード、ファストファッションはまだ一般名詞になっていなかったと思うんです。いろんな方が気軽に御用聞きのサービスを使える文化を浸透させ、作っていくことがとても重要であると理解しています」と意気込む。

 古市さんは御用聞きがインフラとなって定着した世界について思いをはせている。「『困ったまま』が減り、『楽しい』がもっと楽しくなると思います。年齢問わず自身の長所を活かすことができる世の中になり、みんなが多様な担い手になると思います」。そのためにも、今日も誰かの“たすかる”を着実に実現していく。

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