それ、「5分100円」でやります なんでも屋「御用聞き」の事業継続の秘密
株式会社「御用聞き」が展開するサービスは、まさに“なんでも屋”だ。「100円家事代行」では、電球交換、あて名書きから瓶のふた開けまで、かゆいところに手が届く手伝いを5分100円で請け負う。その上位にあたる「たすかるサービス」では、家具や粗大ごみの移動、草むしりを5分300円で、さらに大掃除の手伝いやしっかりした掃除、PCサポートなどは30分2000円で引き受ける。そこに出張料金を1人につき500円上乗せするシステムだ。その御用聞きが、コロナ禍で過去最高の利用件数を記録したという。代表取締役の古市盛久さんに、事業の秘密を聞いた。
コロナ禍でも好調 令和のなんでも屋「御用聞き」古市盛久さんに聞く
株式会社「御用聞き」が展開するサービスは、まさに“なんでも屋”だ。「100円家事代行」では、電球交換、あて名書きから瓶のふた開けまで、かゆいところに手が届く手伝いを5分100円で請け負う。その上位にあたる「たすかるサービス」では、家具や粗大ごみの移動、草むしりを5分300円で、さらに大掃除の手伝いやしっかりした掃除、PCサポートなどは30分2000円で引き受ける。そこに出張料金を1人につき500円上乗せするシステムだ。その御用聞きが、コロナ禍で過去最高の利用件数を記録したという。代表取締役の古市盛久さんに、事業の秘密を聞いた。(取材・文=安藤かなみ)
サービスの創始者で代表取締役の古市さんは大学を卒業後、新卒で不動産を取り扱う上場企業のグループ会社に就職。不動産管理を手がけ、その年の年末に脱サラして現在の法人を立ち上げた。その後は約10年間、不動産仲介業を経営。しかし、事業を進めていく中で、次第に「建物はこれ以上増えない」と考えるようになる。
「建物は増えず、昔あったものをつぶして新しいものを作るか、まだ使えそうなものをリフォームやリノベーションして再使用することになる。人口がゆるやかに減っていく中、需要の供給のバランスを見ると建物が余ってしまう」。そう考えた古市さんは、建物の中で生じる“足りないもの”を補填(ほてん)するサービスに視線をシフト。「建物に付随して(人の心を)豊かにするような新しい付加価値サービスができるんじゃないか」と、30歳のときにインターネットを使った買い物代行サービスを立ち上げた。
ところが、一念発起してスタートさせた買い物代行サービスを軌道に乗せることはできなかった。「大失敗しまして。倒産しかけた」と古市さんは苦笑いを浮かべる。失意の最中、サービスに登録していた利用者のもとに身体一つで通い、お詫び行脚をすることに。当時の利用者の主な年齢層は65歳~75歳の高齢者。その道中で「買い物は自分でやるからいい。その代わり、棚の上のものを取って」「骨にヒビが入ってしまったから、代わりに風呂掃除をしてほしい」と家事の手伝いを依頼された。そこで「地域のニーズと出会うことができた」と感じた古市さんは、現在の御用聞きの礎となる家事代行サービスを立ち上げる決意をした。
発足以来、地域の身近な困りごとを解決してきた御用聞きだが、コロナ禍でその依頼内容も変化してきたそうだ。古市さんは「お年寄りの方がお年寄りの方を支援する団体が早急にストップしてしまった。そこで私たちのような若者の団体が受け皿となって、年配の方をサポートする件数が増えました」と新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた昨年の情勢を振り返る。さらに、行政からの依頼も増加。飲食店の支援や、自粛が続いたことで体力が低下してしまった高齢者の健康維持など、コロナ禍で生じた地域の問題解決を手伝うことが増えたという。
また、最近では子どもたちへの支援依頼も増えている。「在宅で勉強についていけなくなったお子さんがけっこう多くいらっしゃって。お子さんの見守りや、自信がなくなってしまったお子さんに寄り添って(勉強が)楽しいと思ってもらって勉強に興味を持ってもらえるような、家庭教師に入る前のフェーズの“遊び相手”みたいなところが最近増えてきています」と話す古市さん。多岐にわたるサービス内容は、まさに“なんでも屋”そのものだ。