よぎった引退、絶体絶命からの起死回生…「生きるヒント」を紡いだ棚橋弘至の実録
プロレス界の「エース」として人気を誇る棚橋弘至がこのほど、著書「カウント2.9から立ち上がれ 逆境からの「復活力」」(マガジンハウス)を上梓した。けがに苦しみながらも復活を遂げた自身の近年の経験を丹念に綴り、職場や家庭、学校で悩みを抱える人たちへ「生きるヒント」を伝授する力作だ。そんなプロレス人気復活の牽引役に、著書に込めたメッセージや、令和を迎えたプロレスの未来を聞いた。
絶対的エース・棚橋弘至インタビュー(1)
プロレス界の「エース」として人気を誇る棚橋弘至がこのほど、著書「カウント2.9から立ち上がれ 逆境からの「復活力」」(マガジンハウス)を上梓した。けがに苦しみながらも復活を遂げた自身の近年の経験を丹念に綴り、職場や家庭、学校で悩みを抱える人たちへ「生きるヒント」を伝授する力作だ。そんなプロレス人気復活の牽引役に、著書に込めたメッセージや、令和を迎えたプロレスの未来を聞いた。
――本のタイトル、とりわけ「復活力」という言葉には力強さがあります。
「『復活力』というのはエネルギーのある言葉。ただ、復活と言っても、やり方はなかなか教えてもらえないものです。どうしたら復活できるのか。プロレス界で言えば、ギリギリの状況。大技を食らってフラフラなのですが、カウント2.9でやり返す。絶体絶命でもう負けるかもしれないという状況からの立ち上がり方。プロレスならではの表現を使いました」
――観戦しているファンは、やられてもやられてもやり返す姿に勇気や感動をもらえます。
「そこがプロレスの醍醐味です。日常生活においても、『もう無理だ』と思ってしまうことがあるのではないでしょうか。それでも、あきらめずにぶつかっていこう、現状を打破しよう、という思いを込めてタイトルを付けました」
よぎった「引退」、生々しい文章で綴る
――同書では、2018年1月の札幌大会で膝を故障した際に引退がよぎったことなど、苦しさの吐露や踏み込んだ話が多く盛り込んであります。
「ここ2、3年のことを書いたものなので、生々しい文章になっています。全部、包み隠さず書いてあります」
――学生時代やプロレス人生の回想を含めたご自身の体験に基づいて、悩める人たちにエールを送る内容です。
「みなさんがより実生活に置き換えやすい体験本です。僕の体験を書いている本なんですけど、復活するために何かを特訓したとか、どこかに行ったというのではなくて、日常生活をどう過ごすのか、というハウツー本に仕上がっています。日常を修行の場にできるのならば、時間の無駄はない。普段の生活でちょっと何点か気を付けるだけで修行になるのです。1日が有意義に過ごせます」