なぜ今“教育”なのか 海老蔵が出資で話題、今注目のリベラルアーツ教育とは

歌舞伎役者の市川海老蔵が代表を務めるNPO法人「Earth&Human」初の連携事業、「KOTOWARI 会津サマースクール」が今夏、福島・南会津で開催される。環境問題へ危機感を持つ高校生、大学生、大学院生らが持続可能な未来について考える同セミナーだが、その根底にあるのが、幅広い専門分野を学び自己と世界の関係から汎用的な思考力を養うという「リベラルアーツ」の考えだ。近年ではビジネスの文脈でも注目されるリベラルアーツとはどのようなものなのか。本場米国のウェズリアン大学で学んだ「KOTOWARI 会津サマースクール」の主催者・青木光太郎氏に聞いた。

「KOTOWARI 会津サマースクール」の主催者・青木光太郎氏【写真:ENCOUNT編集部】
「KOTOWARI 会津サマースクール」の主催者・青木光太郎氏【写真:ENCOUNT編集部】

幅広い分野から問題を俯瞰的に捉え、その人個人にとっての答えを見つける学問

 歌舞伎役者の市川海老蔵が代表を務めるNPO法人「Earth&Human」初の連携事業、「KOTOWARI 会津サマースクール」が今夏、福島・南会津で開催される。環境問題へ危機感を持つ高校生、大学生、大学院生らが持続可能な未来について考える同セミナーだが、その根底にあるのが、幅広い専門分野を学び自己と世界の関係から汎用的な思考力を養うという「リベラルアーツ」の考えだ。近年ではビジネスの文脈でも注目されるリベラルアーツとはどのようなものなのか。本場米国のウェズリアン大学で学んだ「KOTOWARI 会津サマースクール」の主催者・青木光太郎氏に聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

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「リベラルアーツ」を直訳すると「一般教養」。日本では東大生が2年時まで通う駒場キャンパスの教養学部が有名だが、日本の大学教育で語られる一般教養と本場米国のリベラルアーツではやや実態が異なる。米国のリベラルアーツ大学では、理系文系問わずさまざまな分野を広く学び、それぞれの領域で学んだことを相互に関連させつつ専門性を深めていくが、最も重要な側面は知性による自己の確立にあると青木氏はいう。

「幅広いジャンルの知識を通じて、自分について、自分を通した世界について学ぶという考え方です。人間という存在には社会的な役割や地位、国籍や民族、美的感覚や特定の知的興味関心など、さまざまな側面があって、それらの関わりの中で一人の人間が形作られている。自分を構成するそれらの要素の成り立ちを知り、その集約点としての自分を通して、世界と関わる学問がリベラルアーツ。だから、人によって出てくる答えは違うんです」

 さまざまな領域の知識から、専門分野についてより俯瞰的、多角的に捉えることを目的とするリベラルアーツ。問いを俯瞰的に捉えているからこそ、自分の答えを誰にでも説明でき、相手の答えを理解できるようになる。米国のリベラルアーツ大学では、例えば数学専攻の学生と演劇専攻の学生が互いの分野について積極的に議論するような場面も珍しいことではないという。

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