「青春の音圧」に新たなエンタメ文化を見た 甲子園を席巻する「ブラバン応援」の進化を探る

音楽とスポーツが融合し、個性が凝縮された新たなエンターテインメントを見た。6月16日に東京・NHKホールで開催された「ブラバン!甲子園ライブ2019」。高校野球強豪校の吹奏楽部、チアリーディング部や応援団が一丸となって、思いっきり応援パフォーマンスを披露した。笑いあり、ダンスもありの多様な表現力。耳がキーンとなるような情熱的な演奏。学生たちによる「青春の音圧」は、ブラバン応援の醍醐味だと改めて実感できた。

「ブラバン!甲子園ライブ2019」は盛大に行われた【写真提供:キョードー東京】
「ブラバン!甲子園ライブ2019」は盛大に行われた【写真提供:キョードー東京】

「ブラバン!甲子園ライブ2019」が開催 東海大相模、横浜、日大三、習志野の強豪4校が競演

 6月16日に東京・NHKホールで開催された「ブラバン!甲子園ライブ2019」。高校野球強豪校の吹奏楽部、チアリーディング部や応援団が一丸となって応援パフォーマンスを披露した。笑いあり、ダンスもありの個性豊かな表現力。耳がキーンとなるような情熱的な演奏。そんな「青春の音圧」は、ブラバン応援の最大の醍醐味だと実感できた。

 NHK紅白歌合戦の舞台に、甲子園球場の熱気がもたらされた。3回目の開催となった今回のライブには、東海大相模高(神奈川)、横浜高(神奈川)、日大三高(東京)、習志野高(千葉)の4校が参加。迫力ある演奏だけでなく、MCを務めた高校野球ブラバン応援研究家・梅津有希子氏や顧問の先生たちによる豆知識や裏話のトークで盛り立てられた。

東海大相模は「女子力」を華やかに披露した【写真提供:キョードー東京】
東海大相模は「女子力」を華やかに披露した【写真提供:キョードー東京】

 夏の全国高校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」の荘厳な合同演奏で“プレーボール”。第1試合は、東海大相模と横浜による“永遠のライバル”対決となった。

 先攻の東海大相模は、「女子力」を発揮した。女子生徒による応援団がエールを響かせると、チアリーディング部員が通路に広がって華麗な演技をみせた。背番号「0」のユニホームを着て演奏する生徒たちから一体感がにじみ出る。テンポよく流れるように応援歌を奏でた。

横浜は男くさいバンカラ応援で対抗【写真提供:キョードー東京】
横浜は男くさいバンカラ応援で対抗【写真提供:キョードー東京】

 男子校の横浜は対照的に、男くさい骨太なパフォーマンスを全開。学ラン姿の応援団長が「学生注目!男しかいないじゃないか」と自虐ネタで笑いを取ると、大太鼓に合わせてバンカラな応援スタイルを披露した。両校に共通する応援テーマ曲「鉄腕アトム」の聴き比べコーナーが設けられ、作曲者の高井達雄氏がサプライズで登壇する場面もあった。

日大三は扇子を使ったチアリーディングのパフォーマンスも印象的だ【写真提供:キョードー東京】
日大三は扇子を使ったチアリーディングのパフォーマンスも印象的だ【写真提供:キョードー東京】

伝統の“荒ぶるドラム使い”と「美爆音」が激突!

 日大三と習志野がぶつかった第2試合はさらにヒートアップ。

 先攻の日大三は、最前列にツインドラムが並ぶ。“荒ぶるドラム使い”として昨夏の甲子園で話題を集めた伝統の「三高ドラム」だ。序盤の「暴れん坊将軍」のテーマ曲から、ロックなドラミングが炸裂した。ティンバレスやボンゴといったパーカッションの奏者がリズムを刻み、ラテンの曲調もこなす。吹奏楽部OBで、NHK交響楽団で打楽器奏者を務める竹島悟史氏が作曲したオリジナル「Come on!!」が強烈なインパクトを残した。

習志野は男子生徒のダンスも強烈だった【写真提供:キョードー東京】
習志野は男子生徒のダンスも強烈だった【写真提供:キョードー東京】

 そして、今春の選抜大会で初の準優勝を果たした習志野が登場。200人規模の大所帯で「美爆音」のキャッチフレーズで知られる吹奏楽部は、ダンスを織り交ぜながら自慢の「音」で勝負を仕掛けた。おそろいのTシャツ姿で、3年生男子部長が指揮。「ルパン三世のテーマ」や「サウスポー」といった定番から、プロ野球千葉ロッテマリーンズのチャンステーマでおなじみの「モンキーターン」やサザンオールスターズの「気分しだいで責めないで」などをメドレー形式で、高い演奏力で披露。

「ダンシング・ヒーロー」の演奏シーンでは、5人の女子生徒が登場して息の合った「バブリーダンス」で盛り上げた。さらには、フルートなどの楽器奏者もリズムに合わせて流麗な振り付けを見せ、時には声を張り上げて歌唱。トランペット担当の男子生徒が1975年に作ったという応援曲「レッツゴー習志野」を迫力たっぷりに演奏してみせた。

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