不条理感じるZ世代のための学びの場 俯瞰的思考力を養うリベラルアーツの可能性とその先

地球の自然環境が持続していくために、何かアクションを起こす時間が残されている最後の世代とも言われるZ世代。コロナ禍の今、さまざまなことを制限され、政治や環境問題に関心を持ちつつも、それに対する考えを深め、発信する場がないという若者も多い。そんな若者のための環境教育「KOTOWARI 会津サマースクール」が今夏、福島・南会津で開催される。主催者の青木光太郎氏が目指すのは、参加者が自己と世界の関係から問題を俯瞰的、本質的に捉える「リベラルアーツ」の思考法で、気候変動などの環境問題を理解すること。リベラルアーツとはいったいどのようなものなのか、本場米国のウェズリアン大学で学んだ青木氏に聞いた。

「KOTOWARI 会津サマースクール」の主催者・青木光太郎氏【写真:ENCOUNT編集部】
「KOTOWARI 会津サマースクール」の主催者・青木光太郎氏【写真:ENCOUNT編集部】

コロナ禍や環境問題に危機感を持つ若者のための環境教育と発信の場

 地球の自然環境が持続していくために、何かアクションを起こす時間が残されている最後の世代とも言われるZ世代。コロナ禍の今、さまざまなことを制限され、政治や環境問題に関心を持ちつつも、それに対する考えを深め、発信する場がないという若者も多い。そんな若者のための環境教育「KOTOWARI 会津サマースクール」が今夏、福島・南会津で開催される。主催者の青木光太郎氏が目指すのは、参加者が自己と世界の関係から問題を俯瞰的、本質的に捉える「リベラルアーツ」の思考法で、気候変動などの環境問題を理解すること。リベラルアーツとはいったいどのようなものなのか、本場米国のウェズリアン大学で学んだ青木氏に聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、社会のありようが一変した1年。部活動や修学旅行、文化祭などの課外活動が制限されたり、進学した大学で思うような学生生活が送れずに、社会の不条理を感じた若者も多いだろう。「KOTOWARI 会津サマースクール」を主催する青木氏が日本の大学を中退し、米国・ウェズリアン大学に留学したのは、日本に今と同じような閉塞(へいそく)感が漂う東日本大震災の翌年だった。

「高校までは陸上に打ち込んでいましたが、部活を引退して、記録という自分の外側の数字ばかり追うのではなく、もっと自分の内面を鍛えなきゃいけないんじゃないかと思うようになりました。本質的な知識を求めて関東の国立大に進学したものの、全てを懸けるような熱量と純粋さを持って学びに向き合う雰囲気はなく、就職予備校、あるいはモラトリアムのような場所だった。ちょうど3.11があって、政府や知識人の言葉にも確かなものはないなと、徹底的に自分の頭で考えることの必要性を感じていたとき、たまたま目に留まったブログ記事でリベラルアーツ教育を知り、大学を辞めウェズリアン大学に入り直しました」

 リベラルアーツとは、理系文系問わずさまざまな分野を広く学び、それぞれの領域で学んだことを相互に関連させつつ専門性を深めていく学問。環境問題であれば経済学や気象学、地質学はもちろん、国際関係、人口問題や食糧問題、さらには倫理や宗教、歴史的な資本主義の成り立ちまでが複雑に絡み合っており、これらを相対的に捉えつつ解決していく俯瞰的かつ本質的な視点が求められる。

 日本語では「一般教養」とも直訳されるリベラルアーツだが、その最も重要な側面は知識よりもむしろ自己の知性の確立にあり、それこそが環境問題解決の糸口にもなるのではと青木氏はいう。

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