「気持ち悪い」脱退は氷山の一角 現役プロデューサーが明かす地下アイドル業界の実態

広島を中心に活動する6人組の地下アイドルグループ「プランクスターズ」の田中いろはさんが5日に、公式ツイッターなどを通じグループ脱退を発表。田中さんは6月から「ライブスタイルがどうしても汚く、気持ち悪く、生理的に無理」「同等にヲタクが気持ち悪いと感じるようになり、精神的に限界がきてしまい」という理由で活動を休止していた。コロナ禍の今、地下アイドル業界で何が起こっているのか。現役プロデューサーに実態を聞いた。

コロナ禍で地下アイドルとファンの距離感の問題が顕著に(写真はイメージ)【写真:写真AC】
コロナ禍で地下アイドルとファンの距離感の問題が顕著に(写真はイメージ)【写真:写真AC】

ファンとの距離の近さゆえ、パフォーマンスが過激になりやすい傾向も

 広島を中心に活動する6人組の地下アイドルグループ「プランクスターズ」の田中いろはさんが5日に、公式ツイッターなどを通じグループ脱退を発表。田中さんは6月から「ライブスタイルがどうしても汚く、気持ち悪く、生理的に無理」「同等にヲタクが気持ち悪いと感じるようになり、精神的に限界がきてしまい」という理由で活動を休止していた。コロナ禍の今、地下アイドル業界で何が起こっているのか。現役プロデューサーに実態を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

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 プランクスターズは「自由奔放悪ガキアイドル」として、過激なライブパフォーマンスが売りのアイドルグループ。昨年3月に行われたライブでは、観客が上半身裸になったり、メンバーが客席にダイブして墨汁や小麦粉をまき散らしたりするなど、行き過ぎたパフォーマンスが物議を醸したこともあった。

 以前は握手会やチェキ撮影、物販などで収入を得ていた地下アイドルだが、コロナ禍となり、ファンとの交流やふれあいが難しくなる中、ファンサービスがより過激なものになっているとの指摘もある。

 現在、都内を中心に活動中の5人組の地下アイドルを抱えるプロデューサーは「すべての地下アイドルがそうというわけではないし、健全に活動しているグループもたくさんある」と前置きしたうえで、「地下アイドル業界でプランクスターズのような例は氷山の一角。ただのうわさかと思うようなことが、実際に起こっているケースは多々あります」と語る。

「地下アイドルは業務委託という雇用形態がほとんどで、社会保険もなく、何か問題が起こればすぐ切り捨てられる世界。一般的にオーディションサイトやツイッターの募集に応募してきた子と契約を交わしますが、売り上げの分配額が不当に安く設定されていたり、スタジオ代や交通費がメンバーの自腹だったりすることを隠して契約に至る悪質な事務所も多い。アイドルを目指す子は誰かに認められたいという承認欲求が強いので、ファンが付くとそこに依存してしまう子もいます」(前出のプロデューサー)

 メジャーアイドルと違ってファンとの距離が近いことが魅力の地下アイドル。それだけに、応援にとどまらず、アイドルに本気で恋をしてしまう“ガチ恋勢”と言われる熱狂的なファンもいる。

「昔からの40~50代のファンは誰でも大好き、通称『DD(Daredemo Daisuki)』という層が多く、これまでいろんなアイドルグループの解散を見てきた分、あまり一つのグループに入れこまない傾向がある。一方で『ピンチケ』と呼ばれる若い世代のファンは思い入れが強く、『同担拒否』といって同じメンバーのファン同士でケンカしたり、マウントを取り合ったりと、マナーを守らない人も多い。メンバーに覚えてもらったり、気に入られることがステータスなので、ファッションは意外にも全身ハイブランドで固めていることも多いです。距離が近いぶん、一部ではアイドルとファンが不適切な関係に発展し、引退を余儀なくされた例もあります」(前出のプロデューサー)

 ファンとの距離の近さが魅力の反面、適切な距離感を保つことが大切なようだ。

次のページへ (2/2) 【写真】アイドルグループ「プランクスターズ」の集合ショット
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