俳優の西島秀俊が4日、都内で行われた、映画「ドライブ・マイ・カー」（8月20日公開）の壮行会イベントに出席。同作は、今月6日より開催される第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門への正式出品が決定していて、三浦透子、霧島れいか、濱口竜介監督もイベントに参加し、喜びを語った。

　原作は、村上春樹氏による同名短編小説。妻を失い喪失感を抱えながら生きる舞台俳優であり演出家の家福（西島）が、愛車で向かった広島でみさき（三浦）と出会い、目を背けていたあることに気付かされていくさまを描く。

　濱口監督は商業映画デビュー作の「寝ても覚めても」がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されたほか、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞に輝いた黒沢清監督の「スパイの妻＜劇場版＞」では脚本も担当した。西島は、「世界が注目している、これからもっともっと大きくなる監督の作品に参加させていただいて光栄ですし、いち俳優として素晴らしい体験をさせていただきました。カンヌという場所で世界中の方々に見ていただけるのがうれしい」と喜びを語った。

　また、濱口監督の演出について西島は「他の監督とは違った演出方法がたくさんあって。本読みをたくさんやったり、いろんな作業があってすごく刺激的な体験でした。別の現場でも個人的に行いたい作業というのもたくさん教えていただきました。本読みも好きになりました」と明かした。

　さらに、カンヌ国際映画祭には、三浦、霧島、濱口監督が参加することがイベント内で発表された。スケジュールの都合により参加できない西島は、「できれば行きたかったです……。観客の皆さんが世界中から来ていると思うので、どのシーンでどんな反応をしていたかを聞きたいです」と3人にメッセージを送った。西島の言葉を受けて、濱口監督は「西島さんの事務所を恨みます（笑）　西島さんあっての映画で、お披露目の場にいないのは寂しいです。日本に素晴らしい俳優がいることを向こうで示してきたいと思います」と力強く語った

　イベント後半には記者からの質疑応答があり、「村上氏がこの場にいたとしたら何を伝えたいか」との質問に、学生時代から村上氏の作品を読んでいたという西島は、「この方の小説の中の役をどこかで演じられたらというのは考えていました。『ドライブ・マイ・カー』のこの役は、お話をいただいたときにどうしても自分でやりたいと思って演じた役なので、文字どおり毎日、全身全霊を込めてやらせていただいた作品なので、（村上氏が）見て、何か気に入っていただける場所があったら本当に幸せですということを伝えたいです」と明かした。