芸能界から引っ張りだこ「鳥久弁当」 “創業93年”の今昔物語 人気の秘密を社長に直撃
コロナ禍での対策は…
さて、2020年から全世界に猛威を奮っているのが新型コロナウイルスである。全世界の人々の生活を一変させてしまったと言われる、現在のコロナ禍。鳥久弁当はどうだったのか。
「飲食店の中には大変な思いをされている方もいらっしゃるでしょうから、その方々には申し訳ないと思うんですけど、ウチはたまたま店頭販売(テイクアウト)の店だったので、ほとんど影響を受けなかったんです。もちろん、2020年は特にお客様に並んでもらう際にソーシャルディスタンスを保ってもらったりもしたから、その点では気を遣わせてしまった点はあったと思うけど、とくに変わったことはありませんでした。だから対応できたというより、今までやってきたことがコロナ禍でもそのまま通用したんですね」
そして、コロナ禍になってからテイクアウトを始めた店舗の方々にもエールを送る。
「ウチみたいな、最初から『その日のうちにお召し上がりください』っていう商品ではなく、レストランのように、その場で召し上がっていただくメニューのお店が店頭販売していく場合もある。すると消費期限の問題や食中毒のことも視野に入れないといけないことが出てくると思うんです。その点を含めると、対応していくのは多少の時間が必要かもしれません。でもね、今は誰もが辛抱時。もう少し経てばコロナも落ち着くし、その頃には店頭販売にも慣れてくるでしょうから、そうなればこれまでとは違ったお客様がついてくれるようになっていますから」
とはいえ、以前から店頭販売を売りにしてきた鳥久弁当でさえ、売り上げ全体を考えれば、まったく影響が出なかったわけではない。理由はイベントの開催が減ってしまったことに起因する。それでも、そこまでの深刻なダメージは受けなかったのは不幸中の幸いだった。
興味深いのは、それでもこれまでとは違った影響が出てしまったため、2020年は4月10日~5月20日までの40日間、店を閉めたことだろう。
「ウチとしては、客足は悪くなかったんです。むしろ他の店が閉まっている分、こぞってお客様が店の前に行列をつくっていく。いや、殺到してしまった。その頃は今より誰もが神経質になっていたし、まだソーシャルディスタンスも十分に浸透していなかったから、フェースシールドをしたりする習慣がなかった。そうなると、売り上げは上がったとしても、従業員がお客様と相対するのを怖がっていたんですね」
その結果、様子を見ようという判断から一時休業をしたのである。
それからはや1年以上が経過したが、現在では通常営業を再開し、雨の日だろうと、雪の日だろうと、店の前にはお客様の列ができ、皆が並んでも食べたい鳥久弁当本来の姿が戻っている。
ちなみに鳥久弁当は1日に2500~3000個の弁当を売り上げるが、その中の一番人気は特製弁当(税込み800円)になる。これは真ん中に梅干しが乗ったご飯に加え、大きめのから揚げに、チキンカツ、焼鳥、じゃがいも(煮物)、つくね、かまぼこ、それに紅生姜と昆布が付いている。
「結構ボリュームがありますね。最近はメタボを気にする人が多いと言われていて、あっさり系が持てはやされることもありますけど、意外とそうでもないのかな。OLの方も含め、普通にお買い上げいただいています」