藤井2冠がストレートで棋聖戦防衛した強みはどこに? 真田圭一八段解説 藤井将棋の強さ

真田圭一八段
真田圭一八段

ギリギリの展開をものにする凄みを感じた棋聖戦だった

 最終盤は藤井2冠の強さばかりが際立った。87手目▲5三角成以下藤井玉が詰んでもおかしくないが開き直った。或いは秒読みの中、長手数王手が続いても詰まないことを読み切っていたのか。

 渡辺3冠もここは踏み込めなかった。そして藤井2冠が猛攻をしのぎながらの96手目△7一飛と飛車のタダ捨て。飛車を取らせて渡辺玉が詰むことを、ここは完全に読み切っていた。

 華麗な手を繰り出しての決着。本当に見事という他なく、3連勝でストレート勝ち。史上最年少タイトル防衛と、史上最年少九段昇段を決めた。また新たな新記録が歴史に刻まれることとなった。

 今回の棋聖戦は、3局共に藤井2冠の強さが出た展開となった。内容的には第2局と第3局は渡辺3冠が勝っていてもおかしくなかった。だが、やや追い込まれ気味になってからの藤井2冠の強さは、快勝の展開より凄味を感じさせた。ギリギリの展開で少し良くなっても、そこから勝ち切るのはなお大変。打倒藤井の難しさを実感させるし、だがそれを乗り越えなければ倒せない。

 渡辺3冠は今後も立ちはだかるだろう。両者の対戦内容も進化していると感じられる。藤井2冠がこれからどれほどタイトルを重ねられるか。今回の棋聖戦はまだまだ底知れぬ藤井2冠のポテンシャルを感じさせて、大きな期待をファンに与える内容と結果になったと思う。

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