“ドロドロ劇”の昼ドラ配信開始 鶴プロデューサー「心のひだに入ってギリギリの勝負」

動画配信サービス「U-NEXT」は1日から東海テレビ制作の昼の帯ドラマ(通称:昼ドラ)の厳選ラインアップの配信を始めた。第1弾は「女優・杏子」「麗わしき鬼」などで“ドロドロ劇”の醍醐味(だいごみ)が再度楽しめそうだ。

昼ドラの厳選ラインアップが配信だ
昼ドラの厳選ラインアップが配信だ

当時は制作費も厳しく相当しんどい状況

 動画配信サービス「U-NEXT」は1日から東海テレビ制作の昼の帯ドラマ(通称:昼ドラ)の厳選ラインアップの配信を始めた。第1弾は「女優・杏子」「麗わしき鬼」などで“ドロドロ劇”の醍醐味(だいごみ)が再度楽しめそうだ。

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 昼ドラは1964年の放送以来、半世紀以上にわたって累計214作品、1万3451話が制作されてきた。長きにわたって愛憎劇から心温まるファミリードラマまでさまざまな人間模様を描き出し視聴者をくぎ付けにした。

 その214作品もの「昼ドラ」ラインアップから“スペシャルな作品”をU-NEXTセレクションとして厳選。記念すべき第1弾として配信初登場となったのは「女優・杏子」「麗わしき鬼」「愛の迷宮」「新・牡丹と薔薇」の4作品だ。「女優・杏子」は当時、スキャンダルの渦中にいた女優の荻野目慶子が、奔放な生き方ゆえに芸能界のトップから転落する女優・香月杏子を熱演し、自身の女優としての地位を確固たるものにしたことで知られている。どの作品も美しくも懸命に生きる女性たちの姿を描き出した。

 8月には「紅の紋章」「花衣夢衣」が追加されるほか、「牡丹と薔薇」「花嫁のれん」なども続々と配信予定。今回の初配信にあたって、長年「昼ドラ」の制作に携わった東海テレビ制作局ドラマエグゼクティブプロデューサーの鶴啓二郎氏がメッセージを寄せた。

 まず「昼ドラ」の配信については「自分でプロデュースしたドラマではないのですが、例えば今回配信される『女優・杏子』は荻野目さんの怪演というか、他のドラマにはない魅力があります」とPR。また、当時の「昼ドラ」の制作状況を聞かれると「HUT(総世帯視聴率)が低い時間帯にいかに視聴者に見ていただくか腐心していました。当時は制作費も厳しく、60話、65話と撮影するため俳優さんたちの拘束期間も長い。相当しんどい状況でしたが、他のドラマでは見ることができないドラマを作りたいという思いがありました」と苦難の道を明かした。

 一方、「昼ドラ」の魅力については「とんでもないことを犯したり、失敗したりすること自体が人間で、途中でつまずいたり、間違ったりすることは人間の性(さが)。悪い意味も含めて本質を見つめようというスタンスで、本当に心に響くものとして、見ていてつらくなったり、嫌になったり、落ち込んだりすることがあっても最後には人間賛歌につながるものを目指していました」と語った。

「牡丹と薔薇」など社会現象を起こした人気作も数多い。ヒットの法則については「どんなジャンルであっても人間の本質を見つけて、心のひだに入ってえぐろうとするスタンスでやってきました。それぞれのプロデューサーがそのとき一番興味のあるテーマを好き勝手に、というと語弊がありますが、ある種自由に描いたことで、結果として視聴者にフィットしてヒットにつながったのだと思います。戦略的にこういうものをやればヒットするだとか、お客さんにウケるだろうといった作り方を求めたことはありません」と制作現場の雰囲気を明かした。

 俳優の存在も大きいと言う。「本当に素をさらけ出さないと俳優さんたちも続かない。膨大なせりふ量と闘いながら、演技をする上で必要なことを試行錯誤して確立していかなければならない。当時やっていたことのなかには、今でこそタブーみたいなことも平気でありました。奇をてらっているわけではなく、人の本当の姿を描こうとするとギリギリの勝負になる。そういった意味で俳優さんも覚悟をもって、昼ドラの仕事にかけるような状況でしたので、熱意が視聴者に伝わってヒット作になった、ということもあります」。

 そして最後に「映像面でいえば古臭く感じる部分もあると思いますが、時代が変わっても、描いているテーマや人間の本質、その捉え方など変わらない部分もあります。今のドラマにはないテイストや良さがあるからこそ昼ドラのそういった点を面白がって見ていただけたら幸せです」と視聴者にアピールした。

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