「アンタッチャブル」10年ぶり奇跡の復活劇の舞台裏 取材を通して感じた2人の“絆”

話芸家の山田雅人が、40年のキャリアで出会ったさまざまな人々から受け継いだ“心に残る言葉”を紹介する「山田雅人のことば」。今回はテレビ番組の企画で共演したお笑いコンビ「アンタッチャブル」の山崎弘也と柴田英嗣それぞれの取材を通して心に響いた「ことば」を紹介する。

山田雅人が「アンタッチャブル」の取材で心に響いた言葉を紹介【写真:ENCOUNT編集部】
山田雅人が「アンタッチャブル」の取材で心に響いた言葉を紹介【写真:ENCOUNT編集部】

「お笑い実力刃」で山田雅人がアンタッチャブルの2人を取材

 話芸家の山田雅人が、40年のキャリアで出会ったさまざまな人々から受け継いだ“心に残る言葉”を紹介する「山田雅人のことば」。今回はテレビ番組の企画で共演したお笑いコンビ「アンタッチャブル」の山崎弘也と柴田英嗣それぞれの取材を通して心に響いた「ことば」を紹介する。(企画・構成=福嶋剛)

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 こんにちは、山田雅人です。今回は、漫才コンビ「アンタッチャブル」からいただいた大切な「ことば」を紹介します。

 6月2日にサンドウィッチマンさんとアンタッチャブルさんが司会を務める「お笑い実力刃」(テレビ朝日系、毎週水曜、午後11時15分)というバラエティー番組に出演させていただきました。芸人が自らの芸をたっぷり披露するとてもすてきな番組なんですが、そこで僕は笑福亭鶴瓶師匠と爆笑問題の太田光さんの推薦をいただいて番組内で「かたり」を披露しました。

 はじめに出演オファーをいただいたとき、スタッフの方から「アンタッチャブルさんの話でかたりを作ってほしい」と言われました。そこで僕は、「山崎弘也さんと柴田英嗣さん、それぞれ別々に取材をさせてください。それがOKでしたら、ぜひとも作らせていただきます」と1つお願いをしました。

 スタッフさんの計らいで個別の取材が実現して、山崎さん、柴田さん、それぞれ1時間ほどでしたがインタビューをさせてもらいました。取材を終えた後の感想は「こんな気持ちで漫才をやっていたんだ」でしたね。待つ側と待たせた側、お互いがお互いを思いやる気持ちにあふれていて、第三者の立場を越えて、彼らのファンになってしまいました。

 それから物語をまとめていく作業に入ったのですが、完成まで約1か月ぐらいかかりましたね。そしていよいよ収録当日、リハーサルはありません。ぶっつけ本番のネタ下ろしになりました。放送を見ていただいた方はお分かりかもしれませんが、編集やカットは一切ございません。

 今回は2人が10年ぶりにカメラの前で並んだ19年の「全力!脱力タイムズ」(フジテレビ系)の出来事を中心に物語を作りました。

 アンタッチャブルさんの漫才は、皆さんもよくご存知だと思います。結成10年目の04年に「M-1グランプリ」で優勝して日本一になり、その後、柴田さんのスキャンダルで10年間、2人は一緒に漫才ができなかったんです。

 10年間という長い時間、待たせてしまった山崎さんに「もう1回漫才をやってください」柴田さんは自分の口からそれが言えなかったんですね。

 そんな時にようやく10年ぶりに復活したんです。仲間が協力して漫才をする機会を与えてくれたんですね。そのときに柴田さんは感激して、サプライズで登場した山崎さんの目にも涙が溜まっていました。

 突然訪れた10年ぶりの漫才、はじまる直前に柴田さんが山崎さんに深々と頭を下げてこう言ったんです。

「ありがとうございます」

 山崎さんはその言葉で柴田さんの気持ちが分かったんですね。

 言い訳や余計な言葉はいらないんです。「ありがとうございます」このひと言で「10年間待たせて済まなかった」「迷惑を掛けてしまい申し訳ない」そのすべてが山崎さんに伝わったんです。

 そこから10年ぶりとは思えない息の合った漫才をバチッ!とやりました。

 スタジオは大爆笑。スタッフもテレビを見ているお客さんもみんなが感動しました。

 そんな僕の語りを伊達(みきお)さんも富澤(たけし)さんも櫻坂46の原田葵さんも真剣に僕のかたりを聞いてくださって本当にうれしかったですね。

 テレビで長尺のかたりを披露したのは初めてだったので、ツイッターでもびっくりするくらい、たくさんの方から感想をいただきました。

 今回「ありがとうございます」という言葉が、いかに大切かということを彼らの取材を通して学びました。仲が良いからこそできる芸。それがアンタッチャブルの漫才なんですね。

 お互いをリスペクトして「ありがとうございます」という言葉を心に秘めながら、これからも日本を代表する漫才師アンタッチャブルを応援させていただきます。

「ありがとうございました」

□山田雅人(やまだ・まさと)話芸家・タレント・俳優。1961年1月22日、大阪市大正区出身。落語でも漫談でも一人芝居でもないマイク1本とスポットライト1つの独自の話芸「かたり」の世界。スポーツ選手、映画、人物、名勝負など取材を重ね、隠れた人間ドラマの感動をマイク1本で語る。2021年、公式ツイッターをスタート。ABCラジオ「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」(毎週月~木曜、午前9時、山田は毎週火曜出演)。

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○山田雅人公式ツイッター
https://twitter.com/tenpointo3155

○連載【山田雅人のことば】
#1 田中邦衛さんの大切な黒いカバン
https://encount.press/archives/161168/
#2 橋田壽賀子さんが役者・山田雅人を育てた手紙
https://encount.press/archives/177118/
#3 田村正和さんが教えてくれた「古畑任三郎」
https://encount.press/archives/179967/

○インタビュー
山田雅人は話芸家として活躍中 キャリア40年の原点を激白
https://encount.press/archives/67042/
山田雅人「渡る世間は鬼ばかり」藤岡琢也さん相手に楽屋で磨いた“話術”
https://encount.press/archives/67294/

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